コンコード (ブドウ)

コンコード：アメリカ生まれの万能ブドウ品種

コンコードは、アメリカ合衆国原産のブドウ品種であり、ラブルスカ種（別名：fox grape）の栽培品種として知られています。その用途は幅広く、生食はもちろんのこと、果汁飲料や醸造用としても利用されています。

特徴

コンコードの最大の特徴は、一般的に「狐臭い」と表現される独特で強い香りです。この香りのために、ワイン用品種としては敬遠されることもありますが、カシェルワインとして醸造される場合があります。伝統的には甘口のワインが主流ですが、適切な条件が揃えば辛口のワインを醸造することも可能です。

果皮は濃い青色や紫色をしており、表面は白い蝋で覆われていることがよくあります。また、果皮が果実から容易に剥がれる「スリップスキン」品種に分類されるのも特徴です。種子は大きく、果実は濃厚な香りを持っています。栽培においては、カリウム欠乏による黒葉症という生理障害を起こしやすい傾向があります。

生産地

2011年のアメリカにおけるコンコードの生産量は、417,800トンに達しました。主な生産地は、ニューヨーク州のフィンガーレイクス、エリー湖岸、オンタリオ湖岸、ミシガン州南西部、ワシントン州のヤキマ渓谷などです。

日本では、2010年の収穫量は2,347トンで、そのほとんどが長野県で生産されています。用途別に見ると、生食用が2トン、醸造用が1,985トン、果汁飲料用が27トンとなっています。

利用法

コンコードは、アメリカ、特にニューイングランド地方で広く消費されており、ジャムの原料や生食用として人気があります。コンコードのジャムは、ピーナッツバターと組み合わせてサンドイッチとして食べられることが多く、アメリカのスーパーマーケットでは定番商品となっています。また、ブドウ果汁としても広く利用されています。

独特の紫色を活かして、ブドウ味のソフトドリンクやキャンディーの着色料としても使用されます。コンコード果実に含まれるアントラニル酸メチルは、香料として利用されています。

歴史

コンコードは、1849年にマサチューセッツ州コンコードでエフライム・ウェールズ・ブルによって作出されました。ブルは、ラブルスカ種の野生種から採種し、22,000本もの実生の苗木を評価・選抜しました。その原木は、現在もブルが住んでいた家に残っています。

1853年、ブルは新品種コンコードをボストン園芸協会の品評会に出品し、見事優勝を果たしました。翌年の1854年には、市場に導入され、広く栽培されるようになりました。1869年には、ニュージャージー州ヴァインランドのトーマス・ブラムウェル・ウェルチ博士が、低温殺菌によって発酵を防止したコンコードの果汁飲料を初めて開発しました。ウェルチは、当初、教会の聖餐式に用いる非アルコール性ワインとして開発しました。1893年には、ウェルチの息子であるチャールズ・E・ウェルチがウェルチズ・ブドウ果汁会社を創業し、コンコード果汁の普及に貢献しました。

関連項目

ブドウ品種の一覧
ブドウ
ラブルスカ種
ワイン用ブドウ品種の一覧

外部リンク

Concord Grape Association
National Grape Cooperative
* 愛されて140年 ウェルチ カルピスウェルチのブドウ果汁についての記載あり（カルピス株式会社のWebサイト内）

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