蝋

蝋（ろう）について

蝋は、植物や動物、さらには石油から得られる油脂状の物質で、多くの場合、室温では滑らかな固体として存在します。水の沸点である100℃よりも低い温度で融け、燃焼もしやすいため、古くから蝋燭として照明に利用されてきました。この特性から、蝋は多種多様な用途に利用されています。

蝋の概要

広義に蝋とは、動物や植物の油脂を主な原料とし、現代では石油から精製されたパラフィン系のワックスが一般的に使用されています。また、特定の化学過程を通じて合成されたワックスエステルも含まれます。蝋は、水分を弾く性質や潤滑性があり、さまざまな分野で重宝されています。例えば、以前は照明目的の蝋燭としての利用が広まりましたが、最近では工業や日常生活での用途も増しています。

注意点として、シーラカンスやマッコウクジラの肉にはワックスが含まれていますが、ワックスエステルは人的な消化酵素では分解できないため、これらを摂取すると下痢の危険があることが知られています。そのため、日本ではバラムツやアブラソコムツといった魚は食品衛生法によって流通が制限されています。また、金属の接合に使用される「ろう」という用語は「鑞」と書かれ、異なる意味を持ちます。

主な蝋とその特性

ここでは実用的な蝋、広義の蝋について詳しく見ていきましょう。

植物系蝋

• - 木蝋（生蝋、Japan wax）: ハゼノキの果実から作られる蝋で、主に果肉に含まれています。日本の九州北部や四国で生産され、和蝋燭や木製品のつや出しに用いられます。現在、品質の高い製品を生産する社は少数に限られています。

• - カルナウバ蝋: ブラジルのロウヤシの葉から得られ、大理石のような光沢があります。高い融点を持ち、錠剤のコーティング剤やカーワックスとして知られています。

• - サトウキビ蝋: サトウキビの葉から抽出される蝋です。

動物系蝋

• - 蜜蝋: ミツバチが作る巣の主成分で、化粧品や石鹸などに多く用いられます。特有の香りがあり、融点は61–66℃です。

• - 鯨蝋: マッコウクジラから得られる蝋で、捕鯨が行われていた頃には化粧品や蝋燭に利用されていました。

鉱物系ワックス

• - モンタンワックス: 褐炭から得られ、長鎖エステルや脂肪酸などを主成分とする複雑な組成を持っています。

石油系ワックス

• - パラフィンワックス: 原[[油]]から精製された直鎖状炭化水素で、蝋燭や化粧品に広く用いられています。

蝋の用途

蝋は、以下のような幅広い用途に利用されています。

• - 蝋燭
• - 蝋けつ染め
• - つや出し
• - 潤滑剤
• - 造形（蝋人形やロストワックス鋳造の原型など）

このように蝋は、古代からの用途を持ちながら、現代においてもその特性を生かして広範囲にわたって使用されています。

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