コンスタンティン・パッツ

コンスタンティン・パッツ：エストニア初代大統領、激動の生涯

コンスタンティン・パッツ（1874年2月23日 - 1956年1月18日）は、エストニアの政治家、革命家であり、エストニア共和国の初代大統領を務めました。戦間期のエストニアにおいて、最も大きな影響力を持った政治家の一人として知られています。

生涯

前半生

1874年、ロシア帝国領リヴォニア（現エストニア）に生まれたパッツは、タルトゥ大学で法学を学びました。その後、報道家として活動を開始し、新聞『テアタヤ』を創刊。ヤーン・トニッソンとの間で、エストニアの将来像を巡る論争を繰り広げました。

政治家として

1905年のロシア第一革命に関与したため、死刑宣告を受けスイスへ亡命。その後恩赦により帰国するも収監されます。1917年にはエストニア自治政府の知事に就任しますが、十月革命により潜伏を余儀なくされます。

1918年、エストニア独立宣言を発布し、臨時政府の首相となりますが、ドイツによる占領で投獄されます。臨時政府では内務大臣、陸軍大臣も兼務し、エストニア独立戦争の準備に尽力しました。

1920年代から1930年代前半にかけては、「農民集会」を率い、国会議長や国老を歴任。1934年にはクーデターを成功させ、権威主義体制を確立しました。

大統領として

「沈黙の時代」と呼ばれる権威主義体制下で、経済成長を達成。1938年には新憲法を可決させ、エストニア共和国初代大統領に就任しました。

ソ連による占領と死

1940年、ソ連がエストニアに進駐。パッツは大統領令に署名させられ、エストニアはソビエト化されます。その後、逮捕されロシアへ強制送還。1956年、収容先の精神病院で獄死しました。

功績と評価

パッツは、エストニアの独立と発展に大きく貢献した人物として評価される一方で、権威主義体制を確立したことや、ソ連の占領に抵抗しなかったことなど、批判的な意見も存在します。

エストニア独立戦争への貢献

臨時政府では陸軍大臣として、エストニア軍の編成に尽力し、独立戦争を勝利に導きました。

経済成長

「沈黙の時代」と呼ばれる権威主義体制下で、エストニアは経済成長を遂げました。

教育・文化の発展

教育制度の充実や文化の振興に力を入れ、エストニアの近代化を推進しました。

政治思想の変遷

パッツの政治思想は、社会主義から保守主義、そして権威主義へと変遷しました。

社会主義

1905年の革命当時は社会主義者と見なされていました。

自由主義

亡命中は自由主義の思想を取り入れようとしました。

権威主義

独立後は保守主義者として振る舞い、権威主義体制を確立しました。

ソ連占領下の行動

ソ連による占領に抵抗しなかったことについては、様々な議論があります。

体調不良で状況判断ができなかったという説
ソ連を信頼していたという説
* 国民の生命を守るために戦争を避けたという説

人物像

パッツは、演説の才能と強い郷土愛を持ち、子供に関する問題に特別な関心を示した人物として知られています。

遺産

パッツの遺骨は、1990年にタリンの墓地に改葬されました。彼の功績を記念し、タリン植物園には記念館が開設されています。

まとめ

コンスタンティン・パッツは、エストニアの独立と発展に大きく貢献した一方で、その政治手法やソ連占領下の行動については、様々な議論がある人物です。しかし、彼の生涯は、エストニアの激動の歴史を象徴するものとして、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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