コンテナ (データ型)

コンテナとは

コンピュータプログラミングにおけるコンテナとは、オブジェクトの集合を表現するためのデータ構造、抽象データ型、またはクラスの総称です。コレクションとも呼ばれます。コンテナは、データを組織的に格納し、効率的にアクセス・操作するための仕組みを提供します。

コンテナの種類

コンテナには様々な種類があり、それぞれデータの格納方法やアクセス方法が異なります。代表的なコンテナとして、以下のようなものがあります。

配列: 要素を連続したメモリ領域に格納し、インデックスを使って高速にアクセスできる。
リスト: 要素を順序付けて格納し、要素の追加や削除が容易に行える。
スタック: 後入れ先出し（LIFO）の構造で、最後に格納した要素から順に取り出す。
キュー: 先入れ先出し（FIFO）の構造で、最初に追加した要素から順に取り出す。
テーブル: キーと値のペアを格納し、キーを使って高速に値にアクセスできる。
連想配列: キーと値のペアを格納するテーブルの一種で、キーとして文字列などの値を指定できる。
集合: 重複のない要素の集まりを格納する。
木: 親子関係を持つ要素を階層的に格納する。
グラフ: ノードとエッジで構成されるネットワーク構造を格納する。

同じ分類のコンテナでも、実装方法によって計算量やメモリ使用量などが異なる場合があります。例えば、リストには動的配列によるリストと連結リストがあり、それぞれ得意な処理や苦手な処理があります。

コンテナの操作

コンテナクラスは一般的に、以下のような操作を提供します。

コンテナの作成: 新しい空のコンテナを作成する。
要素数の取得: 格納している要素の数を取得する。
全要素の削除: コンテナ内のすべての要素を削除して空にする。
要素の追加: 新しい要素をコンテナに格納する。
要素の削除: 特定の要素をコンテナから削除する。
要素へのアクセス: コンテナに格納されている要素にアクセスする手段を提供する。

コンテナの要素

ジェネリックプログラミングや動的型付け言語では、コンテナの要素として様々な型のオブジェクトを格納できます。ただし、言語によっては要素の型に制約がある場合があります。また、コンテナの要素として別のコンテナを格納することも可能です。コンテナのサイズは、要素数に合わせて自動的に変化するものが一般的です。

コンテナの要素の格納方法

コンテナがオブジェクトを格納する方法には、値による格納と参照による格納の2種類があります。

値による格納: オブジェクトのコピーを格納します。コンテナに格納した後に元のオブジェクトが変更されても、コンテナ内の要素には影響しません。
参照による格納: オブジェクトへの参照やポインタを格納します。コンテナに格納した後に元のオブジェクトが変更されると、コンテナ内の要素も変更されます。参照による格納では、弱い参照を使ってガベージコレクションを考慮する場合もあります。

汎用コンテナ

JavaのコレクションフレームワークやC++のSTLなどには、多くの汎用コンテナが実装されています。Javaでは、ジェネリクスが型消去によって実現されているため、プリミティブ型を直接コンテナに格納できません。プリミティブ型を格納する場合は、Integerなどのラッパークラスを使う必要があります。一方、.NETのジェネリクスでは、値型・参照型を問わず任意の型をコンテナの要素として指定できます。

まとめ

コンテナは、プログラミングにおいてデータを効率的に管理するための重要なツールです。様々な種類のコンテナを理解し、適切なものを選択することで、プログラムの効率や保守性を向上させることができます。

関連情報

イテレータ
* Standard Template Library#コンテナ

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