コンテナ荷票

コンテナ荷票とIT-FRENS&TRACEシステム：JR貨物における鉄道コンテナ輸送の変遷

コンテナ荷票：鉄道コンテナ輸送を支えた紙の伝票

日本貨物鉄道（JR貨物）では、かつてコンテナ荷票と呼ばれる伝票が、鉄道コンテナ貨物輸送において荷札の役割を果たしていました。コンテナに貼付されたこの荷票には、輸送に必要な情報（目的地、積載列車番号、中継駅など）が記載され、荷役作業の円滑化に貢献しました。急送品には「急送品荷票」を使用し、優先輸送を図る工夫もされていました。

1959年のコンテナ貨物輸送開始以来使用されてきたコンテナ荷票ですが、列車走行中の紛失や効率化の課題がありました。そこで、より効率的な輸送システムの必要性が高まりました。

IT-FRENS&TRACEシステム：情報化による輸送効率の革新

JR貨物は、2004年からIT-FRENS&TRACEシステムを段階的に導入しました。このシステムは、コンテナの位置情報追跡（TRACE機能）や列車予約（IT-FRENS機能）などを実現し、コンテナ輸送の効率化と迅速化に大きく貢献しました。

IT-FRENS&TRACEシステムの主な機能：

TRACE機能: 個別コンテナのリアルタイムな位置追跡が可能となり、輸送状況の把握が容易になりました。
IT-FRENS機能: 発着駅へのコンテナ搬入・搬出日時を入力することで、システムが最適な列車を自動検索し、予約を行います。通運事業者はインターネット経由で予約できるようになりました（契約事業者限定）。
運送申し込み（列車予約）機能: 従来は駅事務所への問い合わせが必要だった列車予約が、インターネット経由で直接申し込みできるようになりました。
自動枠調整機能: 荷物の到着希望日時を基に、優先的に積載する荷物を自動選別します。
フォークリフト位置把握機能: フォークリフトに搭載されたGPSとICタグにより、駅構内でのコンテナ位置を正確に把握し、荷役作業の迅速化を実現しました。
ドライバーシステム機能: トラック運転手にカードを配布し、駅構内の端末にカードを通すことで作業指示を受け取れるシステムです。駅構内での待ち時間を削減し、作業効率の向上に繋がりました。

これらの機能により、コンテナの所在把握、列車予約、荷役作業の効率化が実現し、輸送の迅速性と正確性が向上しました。また、荷票の取り付け作業が不要になったことで、委託費用の削減効果も得られました。

コンテナ荷票の廃止

IT-FRENS&TRACEシステムの本格稼働に伴い、2006年1月にJR貨物におけるコンテナ荷票は廃止されました。これにより、紙媒体による情報管理からデジタル情報管理への移行が完了しました。しかし、臨海鉄道各社や通運事業者などでは、独自の荷票を使用したり、海上コンテナやICタグが故障したコンテナには従来どおり荷票を使用したりする場合があります。

コンテナ荷票の規格

コンテナ荷票は、205×252mm（または195×253mm）の紙製で、手書きまたは自動印刷により2枚1組で発行されていました。コンテナの両側に1枚ずつ挿入することで、列車のどちら側からでも荷役作業が行えるよう工夫されていました。荷票には、着駅名、荷送人、荷受人、委託通運事業者名、発駅名、内容品名などが記載され、必要に応じて到着指定日や積載列車番号、中継駅なども記載されました。列車の遅延等による変更は手書きで対応していました。

モーダルシフトと鉄道貨物輸送

環境問題への意識の高まりから、環境負荷の低い鉄道貨物輸送への期待が高まっています。しかし、鉄道貨物輸送は拠点間の大量輸送が中心であるため、荷役や中継に時間を要し、随時性や速達性が求められる荷物には不向きな面がありました。IT-FRENS&TRACEシステムは、これらの課題解決に貢献し、鉄道貨物輸送の競争力強化に繋がっています。

まとめ

コンテナ荷票は、長年にわたりJR貨物のコンテナ輸送を支えてきましたが、IT-FRENS&TRACEシステムの導入により廃止されました。このシステムは、コンテナ輸送の効率化、迅速化、正確性を飛躍的に向上させ、鉄道貨物輸送の進化に大きく貢献しています。今後も、技術革新による更なる効率化が期待されます。

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