コント55号の兵隊さん物語

コント55号の兵隊さん物語

『コント55号の兵隊さん物語』（コントごじゅうごごうのへいたいさんものがたり）は、1970年に日本テレビ系列で放映された、お笑いコンビ「コント55号」を冠としたバラエティ番組です。日本テレビが制作を担当し、1970年4月8日から同年9月16日まで、水曜日の21時00分から21時30分という時間帯に放送されました。ただし、当時のテレビ編成の慣例により、プロ野球のナイター中継が組まれている週には放送が休止されるという特徴がありました。

番組の特色と内容

この番組の最大の魅力であり特色となっていたのは、主演を務めるコント55号、すなわち萩本欽一さんと坂上二郎さんが「兵隊さん」という独特な設定に扮して繰り広げるハプニングコントでした。

単なるスタジオコントとは異なり、本番組は公開収録形式を採用しており、その収録は特定の場所に固定されず、日本各地の様々な公会堂で行われました。これにより、各地域に住む視聴者が直接番組に参加する機会が生まれ、また収録地の雰囲気も番組の持ち味の一つとなりました。

番組のコントは、事前に綿密に作り込まれた台本通りに進むというよりは、その場で巻き起こる予測不能な事態を面白さにつなげる「ハプニング」を重視したスタイルでした。このハプニングコントには、各回に登場するゲスト出演者だけでなく、会場に集まった観客も積極的に巻き込まれることがしばしばありました。コント55号の二人、特に萩本欽一さんが得意とする、観客とのやり取りや予期せぬ反応を取り込みながら、その場で笑いを生み出していく手法が存分に活かされていました。「兵隊さん」という設定は、ある種の非日常感やユーモラスな状況を生み出しやすく、そこから様々な騒動や笑いが生まれる土台となっていました。

このような観客参加型の公開収録形式と、ハプニングを恐れないコントスタイルは、当時のコント55号の人気と勢いを象徴するものであり、多くの視聴者に新鮮な驚きと大きな笑いを提供しました。

番組の終焉とその後

『コント55号の兵隊さん物語』は、約5ヶ月半にわたる放送の後、1970年秋の日本テレビ系列の番組改編に伴い、その歴史に幕を下ろしました。奇しくも同時期には、同じくコント55号が出演し、日曜日の19時台に放送されていた人気番組『コント55号と世界のサーカス』も終了しています。

これらの番組の終了により、日本テレビ系列におけるコント55号のレギュラー冠番組は一時的に中断することとなりました。次にコント55号の名前を冠したレギュラー番組が日本テレビ系列で開始されるのは、それから約2年半後の1973年4月にスタートした『コント55号のなんでそうなるの?』を待つことになります。

短期間の放送ではありましたが、『コント55号の兵隊さん物語』は、公開収録での観客との一体感を重視したハプニングコントという、コント55号の真骨頂とも言えるスタイルを確立・披露した番組として、その活動の一時代を彩る重要な作品の一つと言えるでしょう。

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