コンノート・エンジニアリング

コンノート・エンジニアリング：イギリスが生んだ孤高のレーシングコンストラクター

コンノート・エンジニアリング社は、イギリスを代表するスポーツカーおよびフォーミュラ1カーのコンストラクターとして知られています。一般的には「コンノート」の名で親しまれ、フォーミュラ1世界選手権において、計18グランプリに参戦、52レースに出走しました。その活躍は、1度の表彰台と合計17ポイントという輝かしい記録として刻まれています。

コンノートの歩み：黎明期からF1挑戦まで

コンノート社のルーツは、「コンチネンタル・オート」という、ブガッティなどのヨーロッパ製高級車の販売・修理を手がけていた会社に遡ります。サリー州センドを拠点としていた同社は、その技術力を活かし、レーシングカー製造へと事業を拡大しました。

1950年、コンノートは自社初となるシングルシーター、フォーミュラ2マシン「タイプA」を製作します。このマシンには、当初はリー・フランシス製のエンジンが搭載されていましたが、その後コンノート自身の手によって大幅な改良が加えられ、事実上オリジナルエンジンとして進化しました。伝統的な構造を持つタイプAは、プリセレクタギアボックスを介して後輪を駆動。1952年と1953年のF2世界選手権に参戦し、数々のドライバーがハンドルを握りました。

1954年には、F1世界選手権参戦を目指し、2.5リッターエンジンを搭載した「タイプB」を開発。当初はコヴェントリー・クライマックス製のV8エンジン「ゴダイヴァ」の搭載を予定していましたが、開発の遅延により、アルタ製の2.5リッターエンジンに変更せざるを得ませんでした。タイプBの特徴として、初期モデルには空力特性を重視した全包囲型のボディが採用されていましたが、後に従来型のボディへと変更されています。1955年には、トニー・ブルックスがタイプBを駆り、シラクサで行われたノンタイトル戦で優勝。これは、1923年以来となる快挙でした。このマシンは「シラキュース・コンノート」として知られるようになり、2004年のコンノート復活プロジェクトでもその名を冠したモデルが製作されています。

1962年には、ジャック・フェアーマンがコンノートマシンでインディ500の予選に挑戦しましたが、残念ながらスピード不足により予選落ちという結果に終わりました。

コンノートのスポーツカー

コンノートは、シングルシーターのレーシングカー製作以前にも、リー・フランシス製のシャシーを用いたロードゴーイングスポーツカーを少量生産していました。タイプL2、L3、L3/SRの3種類が製作され、競技において一定の成功を収めています。これらのスポーツカーは、後にF2マシンのタイプAにもその設計思想が受け継がれています。

2004年には、コンノート・モーター・カンパニーが設立され、コンノートブランドが復活。タイプDシラキュースやタイプD-Hハイブリッドスーパーカーといった新型車が発表され、往年の名門コンストラクターの伝統を受け継ぐ新たな挑戦が始まりました。

F1におけるコンノートの足跡

コンノートは、フォーミュラ1世界選手権において、独自の技術と挑戦的な姿勢でその名を刻みました。決してトップチームではありませんでしたが、その存在感は、イギリスのモータースポーツ史に大きな足跡を残しています。限られたリソースの中、独自の技術を駆使して戦ったコンノートの物語は、モータースポーツファンにとって、忘れがたい魅力を持つものと言えるでしょう。1950年代のF1を語る上で、コンノートは決して無視できない存在なのです。

もう一度検索