コンバットマーチ

コンバットマーチについて

「コンバットマーチ」は1965年、早稲田大学応援部吹奏楽団によって作曲された応援曲です。作曲者は当時4年生の三木佑二郎で、編曲は応援部の監督である牛島芳によるものとされています。この曲は、早稲田大学野球部が低迷期を経て春にリーグ優勝を果たした後、その応援のために制作された楽曲です。

曲作りは、1965年の秋の早慶戦を控えた数週間前に、三木が下宿先でトランペットを吹きながら徹夜で行われました。当初は天理高校の応援曲「天理ファンファーレ」に触発されて「攻撃のファンファーレ」と名づけられましたが、後輩からアメリカのテレビ映画「コンバット!」のテーマ曲に似ていると指摘され、その響きから「コンバット」に変更されました。

この曲が初めて演奏されたのは、1965年の秋の早慶戦でした。早稲田大学野球部はこの試合に勝利し、22回目のリーグ優勝を果たしました。その際の優勝パレードでも演奏され、その行進にぴったりな曲としても評価されました。応援部の主将が「コンバット」と言いづらいところから、「コンバットマーチ」という呼称が定着しました。

これまでの野球応援は、主に応援歌や拍手、かけ声で構成されていましたが、「コンバットマーチ」は新たに吹奏楽をメインに据えた応援曲の先駆けとなりました。これに続く形で、翌年には「ダッシュケイオウ」が誕生し、他校でも続々と応援曲が生まれました。今では早稲田大学の野球応援において、得点の好機に合わせて演奏されるなど、重要な役割を担っています。

また、この曲は岡田彰布が阪神タイガースに在籍していた際の応援歌としても使用され、以降も阪神タイガースのチャンスマーチとして長く親しまれてきました。さらに、日本の高校野球でも早稲田実業や早大学院高校を含む多くの学校で演奏されており、野球関連のテレビ番組でも頻繁に登場します。1969年には静岡商業が独自にアレンジしたバージョンが使われ始め、こちらが高校野球での主流となった時期もありました。

「コンバットマーチ」は次第に、応援歌全般を指す一般名詞的な扱いを受けるようになり、プロ野球の広島東洋カープでは「ダッシュケイオウ」が「コンバットマーチ」と呼ばれることもあります。他の大学でも、関西四私立大学間で各校の応援曲が「コンバット」と称されるなど、この曲の影響は広がっています。

作曲者の三木は香川県立土庄高等学校出身であり、後に町長も務めましたが、作品が有名になりすぎたために当初は自分が作曲したことを信じてもらえなかったと言います。彼の作品の著作権登録を促したのは同大OBの中村八大であり、この流れで三木は後日、音楽番組に出演し、その楽曲についての評価を受けました。番組の司会を務めていたのは、早稲田の学生歌「早稲田の栄光」の作曲者でもある芥川也寸志で、彼はこの曲の独自性を高く評価しました。

卒業後、三木は後輩に指導することはなくなりましたが、譜面を残していたことで後輩たちが演奏指導の際に使用し、曲が受け継がれていきました。10年経った後、彼は偶然聴いた甲子園中継で自身の曲が演奏されていることを知ります。このように「コンバットマーチ」は元々早稲田大学の野球応援曲であることが広まることは少なかったのです。

2015年には作曲50周年を記念して「稲門音楽祭」が開催され、オルゴールが販売されるなど、紀念碑も早稲田大学の敷地内に建立されました。また、2016年には三木が新たに「小豆島コンバットトゥギャザー」に取り組むなど、彼の音楽活動は続いています。2018年には「早稲田アリーナ」前にコンバットマーチの記念碑が建立され、今後も多くの人々に親しまれることでしょう。

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