コンビ (企業)

コンビ株式会社

コンビ株式会社は、日本の主要なベビー用品メーカーの一つとして知られています。衛生用品からアパレル、玩具に至るまで、乳幼児向けの幅広い製品の開発、製造、販売を一貫して行っています。国内市場で確固たる地位を築くと同時に、海外市場、特にアメリカへの進出も果たしています。日本のベビー用品業界においては、アップリカやピジョンと並び称される、いわゆる「日本3大メーカー」の一角を占めています。

社名の「コンビ」は、1968年に名付けられました。この名称には、「母と子」という二人の存在、その結びつきを大切にし、応援していきたいという創業以来の願いが込められています。この理念は、同社が提供する製品やサービス全体に息づいており、多くの親子の暮らしをサポートすることを目指しています。

沿革

コンビ株式会社の歴史は、1957年に品川区で設立された三信株式会社に遡ります。当初は医薬品の販売を手がけていましたが、1961年にミマツ化学株式会社を買収したことを契機に、事業の方向性を転換します。合成樹脂加工品分野への参入を果たし、この頃から「コンビ」ブランドで哺乳瓶やおまるなどのベビー用品の生産を開始しました。

事業の拡大に伴い、1968年には社名を現在のコンビ株式会社へと変更し、本社を千代田区に移転します。1982年には、健康機器や健康器具の生産を手がけるコンビヘルスを子会社化し、事業領域を広げました。海外市場への本格的な進出は1989年のことで、アメリカにコンビインターナショナルコーポレーションを設立し、グローバル展開の第一歩を踏み出しました。

国内での認知度向上と事業基盤強化を図り、1991年には株式を店頭公開しました。その後も組織再編を進め、1995年には子会社のコンビヘルスをコンビチャチャに社名変更します。1996年には本社を現在の台東区へと移転し、現在の体制が整えられました。1999年には「Combimini（コンビミニ）」ブランドを立ち上げ、ベビー向けアパレル事業に参入し、新たな顧客層を開拓しました。

2000年にはコンビウェルネスを設立するなど、多角化を推進しましたが、2006年にはコンビウェルネスをコナミ株式会社（現コナミホールディングス株式会社）へ譲渡するなど、事業の選択と集中も行いました。株式上場に関しては、2001年に東京証券取引所市場第二部へ、2003年には市場第一部へと昇格を果たしましたが、2011年にマネジメント・バイアウト（MBO）を実施し、同年中に上場廃止となりました。2004年にはコンビチャチャをコンビウィズに再度社名変更しています。

主な事業と製品

コンビ株式会社は、主に以下の3つの事業セグメントを通じて製品やサービスを提供しています。

ベビー・チャイルド用品: コンビの根幹をなす事業で、チャイルドシートやベビーカーといった大型育児用品から、おまる、哺乳瓶、乳首、食器、ベビー玩具、衛生用品に至るまで、乳幼児の成長段階に応じた幅広い製品群を展開しています。
コンビウィズ: 商業施設や公共空間などに設置される、育児支援設備を手がけています。ショッピングカート、多機能トイレ内のベビーシートやおむつ交換台、さらには保育施設向けの設備なども含まれます。
* コンビネクスト: 「Combimini」ブランドを中心に、ベビー・キッズ向けのアパレル製品を展開しています。赤ちゃんのデリケートな肌に優しい素材や着心地を追求したデザインが特徴です。

特筆すべき事項

コンビ製品は、その品質と信頼性から広く支持されており、皇室においても愛用された実績があります。例えば、敬宮愛子内親王殿下の乳幼児期には、同社のベビーシートや背負い型のベビーキャリーが使用されました。

また、かつて生産されていた動物の形をしたおまるは、特に熱狂的な人気を博しました。「スワンデラックスEX」「ダッキーEX」「ピヨピヨ」といった可愛らしいデザインは多くの子供たちに受け入れられ、トイレトレーニングを楽しく行う手助けとなりました。これらの製品は生産が終了した現在でも、その愛らしさや懐かしさから多くの愛好家や、かつてこれらの製品で育った親たちの間で根強い人気があります。インターネット上のオークションサイトやフリマアプリなどでは、現在も活発に取引が行われており、単なる育児用品としてだけでなく、コレクション品やオブジェとして求められることも少なくありません。

コンビ株式会社は、創業以来「母と子」に寄り添う製品づくりを追求し続け、日本のベビー用品業界をリードする存在として、多くの家庭の育児を支えています。

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