コンプリートガチャ

コンプリートガチャとは

コンプリートガチャ（通称：コンプガチャ）とは、主にスマートフォン向けのソーシャルゲームにおいて採用されていたアイテム課金システムの一種です。これは、カプセルトイ（ガチャガチャ）のように、ゲーム内でランダムに入手できるアイテムのうち、特定の複数のアイテムをすべて集める（コンプリートする）ことで、希少なアイテムや特別な報酬を得られるという仕組みを指します。

業界団体は、コンプガチャを「有料ガチャアイテムを含む特定の2つ以上の異なるアイテム等をすべて揃えることを条件として、ゲーム内で利用できる別のアイテム等を提供する方式」と定義しています。

コンプガチャの仕組み

多くのソーシャルゲームは、基本プレイは無料であるものの、ゲーム内のアイテムやキャラクターを強化するために課金要素を設けています。その代表的なものが「ガチャ」と呼ばれるシステムです。

ガチャは、ゲーム内でランダムにアイテムを入手できる仕組みで、現実のカプセルトイのように、何が出るかは運次第です。通常、ガチャを引くにはゲーム内通貨が必要で、この通貨を現実の通貨で購入することで、ゲーム会社は収益を上げています。

コンプガチャの場合、特定のレアアイテムを入手するためには、ガチャで排出される複数の特定アイテムをすべて集める必要がありました。そのため、ユーザーは目当てのアイテムを求めて何度もガチャを引くことになり、重複するアイテムが多数発生し、多額の課金を強いられるケースが問題となりました。

コンプガチャ問題の発生

2012年5月、消費者庁はコンプガチャが景品表示法（不当景品類及び不当表示防止法）に違反する可能性があるとして、業界に注意喚起を行いました。これは、コンプガチャが、カード合わせの手法に該当すると判断されたためです。

カード合わせとは、複数種類のカードをすべて集めることで景品が得られるという懸賞手法で、過去に景品表示法で禁止されていました。

コンプガチャも、ガチャを通じて手に入る複数のアイテムを揃えることで初めてレアアイテムが入手できるという点で、カード合わせと同様の構造を持つとみなされました。

消費者庁の指摘を受け、ソーシャルゲーム関連企業の株価が大幅に下落する「コンプガチャショック」が発生しました。その後、主要なゲーム会社は相次いでコンプガチャの提供を終了する方針を発表し、業界全体でコンプガチャは姿を消しました。

コンプガチャ規制の法的根拠

コンプガチャ規制の根拠となったのは、景品表示法のカード合わせ規制です。この規制は、1977年（昭和52年）に、プロ野球選手カードやアニメカードなどの収集を煽ることで、主に児童を対象とした射幸心を煽る行為を禁止するために導入されました。

日本オンラインゲーム協会のガイドラインでは、「特定の2つ以上の異なる種類のアイテムを揃えることについて、事前にその特定の組み合わせを明示していない場合は、原則として問題ない」としており、ガチャそのものが全面的に禁止されているわけではありません。

コンプガチャ規制の国際的な動向

コンプガチャの規制状況は国によって異なります。アメリカの一部州や韓国では、2020年時点では合法とされています。しかし、日本のコンプガチャ規制は、自主規制ではなく法律に基づいた規制であるため、海外のゲーム会社が日本でサービスを展開する際には、この規制に従う必要があります。

コンプガチャの教訓と現在

コンプガチャ問題は、ソーシャルゲームにおける射幸心を煽る課金システムが、ユーザーに過度な負担を強いる可能性があることを示した事例として、記憶されるべきでしょう。

現在では、コンプガチャに代わる様々な課金システムが導入されていますが、ガチャの仕組みや課金要素については、ユーザー保護の観点から慎重な検討が求められています。

参考情報

[ケータイ Watch]]: [コンプガチャとは
[CNET]] Japan: [ソーシャルゲームの「コンプガチャ」の仕組みとは
* カードコンプシミュレータ: コンプガチャの疑似体験ができるシミュレータ

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