コンポーネント (自転車)

自転車コンポーネント：歴史、主要メーカー、市場動向

自転車のコンポーネントとは、クランク、変速機、ブレーキなど、自転車を構成する主要な部品をまとめて販売する方式、およびそのセット製品のことを指します。略して「コンポ」とも呼ばれます。この呼称は、日本のシマノが最初に使用し、シマノ製コンポーネントが広く普及したことにより一般化しました。ただし、フレーム、フォーク、ホイール、タイヤ、サドル、ハンドルなどは通常、コンポーネントには含まれません。

英語圏では、カンパニョーロが使用した「Groupset（グループセット）」という呼称が、シマノ製品も含め広く使われています。イタリア語の「Gruppo」や「Group」も同様の意味で用いられます。自転車の部品全般を指す広い意味で使われる場合もありますが、コンポーネントやコンポという用語が登場した場合は、通常、この狭義の意味を指します。

コンポーネントの歴史

シマノは1970年代前半から、複数の自転車部品をセットで販売する「コンポーネント」という販売方法を導入しました。それ以前は、クランク、変速機、ギア、ハブなどの部品は、それぞれ異なるメーカーが製造しており、完成車メーカーは各メーカーから個別に部品を調達していました。このため、部品の互換性の確認や、複数のメーカーへの発注作業に多くの手間と時間がかかっていました。

シマノは、この課題に着目し、互換性に優れた部品をセットで供給するコンポーネントを開発しました。これにより、完成車メーカーは部品調達の手間を削減でき、シマノ製品の採用が増加。シマノは世界的な自転車部品メーカーとして躍進し、一方で、他の多くの自転車部品メーカーは淘汰されました。カンパニョーロも「Gruppo」という名称でコンポーネント市場に参入し、その後、自転車部品業界では、複数の部品を組み合わせたコンポーネントの供給が主流となりました。

初期のコンポーネントには、クランクセット、ボトムブラケット、変速レバー、ブレーキ、ブレーキレバー、前後変速機、ハブ、多段ギア、ヘッドパーツ、シートピラーなどが含まれており、現在ではペダルも含まれるのが一般的です。シマノのコンポーネント販売戦略は成功し、他のメーカーも自社製品をシリーズ化し、同様の販売方法を採用するようになりました。

コンポーネントは、通常、価格帯ごとに複数のグレードが用意され、それぞれに固有の名称（ブランド名）が付けられています。自転車メーカーは、同一のフレームを使用しても、コンポーネントのグレードを変えることで、異なる価格帯の完成車を製造し、販売することができます。これは、自転車メーカーが効率的に車両バリエーションを増やすための有効な方法です。

主要コンポーネントメーカー

自転車部品を大量に、かつ一定の品質で供給できるメーカーは限られており、シマノ、カンパニョーロ、SRAMの3社が主要メーカーとして知られています。近年では、FSAやROTORなど、少量ながらコンポーネントを販売するメーカーも出てきています。過去には、日本のサンツアー、イタリアのCampagnolo、アメリカのSRAM以外にも多くのメーカーがコンポーネントを製造していましたが、競争激化や市場の変化により、現在の3社に市場が集中しています。

シマノ

日本のメーカーで、1980年代以降、マウンテンバイクの普及を背景に世界的なメーカーへと成長しました。マウンテンバイク用部品ではほぼ独占的な地位を築き、ロードバイク用部品でもカンパニョーロと競合するようになりました。特に「STI（デュアルコントロールレバー）」の開発は、シマノがカンパニョーロを凌駕するきっかけとなりました。高品質と低価格のバランスが優れているため、多くの完成車にシマノの部品が採用されています。

カンパニョーロ

イタリアの老舗メーカーで、「クイックリリース」を発明したことで知られています。戦後から変速機で業界をリードし、現在もコンポーネントを製造しています。最高級コンポーネント「レコード」は、長年のレースでの実績を誇ります。近年は、軽量化のためにチタンやカーボンなどの新素材を積極的に採用しています。

SRAM

アメリカのメーカーで、当初はマウンテンバイク用コンポーネントが中心でしたが、2007年からロードバイク用コンポーネントの販売を開始しました。マウンテンバイク用のグリップシフトは有名で、多くの愛好家から支持されています。ロードバイク市場ではシマノ、カンパニョーロに次ぐ存在ですが、プロチームへの供給などを通じて、ブランド力強化を進めています。

ロードバイクコンポーネント市場の寡占化

かつては多くのメーカーがロードバイク用コンポーネントを製造していましたが、現在はシマノとカンパニョーロの2社が市場の大部分を占めています。これは、シマノとサンツアーの激しいシェア争いが大きな要因です。シマノのSIS（段階式変速機）やSTI（デュアルコントロールレバー）の投入が、市場を大きく変えました。サンツアーは、AccuShiftなどの技術を投入しましたが、シェアを奪還できず、生産を停止しました。SRAMもロードバイク用コンポーネント市場に参入していますが、シマノとカンパニョーロのシェアは依然として高いです。

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