ボトムブラケット

ボトムブラケットについて

ボトムブラケット（英: bottom bracket）は、自転車のクランク軸を支える重要な部品であり、BB（ビービー）と省略されることもあります。この部品は、自転車のフレームの前後三角形の下部に位置し、主に力を受ける役割を果たします。ボトムブラケットシェルは、直径約4cm、長さ約7cmのパイプで構成され、フレームに水平に取り付けられています。この部分は自転車の動力伝達に大きく関与しているため、精密な設計と剛性が求められます。

ボトムブラケットの構造

ボトムブラケットシェルの内部では、伝統的に「カップ＆コーン型」軸受のクランク軸やボールベアリングが使用されています。しかし、近年ではシールドベアリングを用いた分解不可能なユニット（カートリッジ）が主流となり、これをシェル内に固定する方式が一般的です。このユニットに関しては、シマノの「ホローテック」やカンパニョーロの「ウルトラトルク」など、各メーカーが独自の名称で呼び、標準化が進んでいないという特徴があります。

特に高級なコンポーネントでは、クランク軸そのものとクランクが一体となっているものもあり、このベアリング部位は専用モジュールとして分離されています。そのため、選択肢が多岐にわたります。例えば、2000年代からはネジ締めではなく圧入式の構造も採用されており、市場には多様な製品が存在しています。このことで、混乱が生じるケースもありますが、高級モデルの軽量フレームでは強度的課題が生じやすく、伝統的なタイプに回帰する傾向も見受けられます。

特殊なデザインのクランク

アメリカの古い自転車モデルやBMXの場合、ワンピースクランクが用いられることがあります。この名の通り、左右のクランクとクランク軸が一体で形成されており、ボトムブラケットシェルは独特の短い大径設計になっています。このため、特定の方法でクランクを取り付ける必要があり、一般的な構造とは異なる点に注意が必要です。

ボトムブラケットのトラブル

ボトムブラケットに関連するトラブルとして、クランクの取り付けが緩むことが挙げられます。特にスクエアテーパー方式の場合は、力を入れて漕ぐ際に異音が発生することがあります。これは、クランクと軸の嵌合がずれるために起こります。締め付けに特殊な工具が必要な場合も多いため、日常のメンテナンス時には充分な注意が求められます。

新たな技術の導入

近年では、内装変速ギアモジュールや、モーターを用いたアシストシステムがボトムブラケット周りに採用され始めています。特に後者は2016年に競技において不正使用の疑いを呼び起こす事件もあったため、今後の動向が注目されています。また、フレームの底面にはフレーム番号や生産国が表記されることが多く、製品のトレーサビリティに役立っています。

規格の多様性

ボトムブラケットにはさまざまな規格が存在し、最新の機材と古いものでは異なる規格が採用されていることもあります。フレームや部品の規格としては、ISO、JIS、BSC（ほぼ同じ）、イタリアン、フレンチなどがあり、取り付けには高価な専用工具が要求されることもあります。

具体的には、ボトムブラケットシェルの幅は68mm、70mm、73mmなどがあり、標準的なサイズは68mmとされていますが、マウンテンバイクなどでは73mmも普及しています。また、ボトムブラケットのねじのタイプにも違いがあり、ISO/JIS/BSCでは右側が逆ねじ、イタリアンでは順ねじになるなど注意が必要です。

ボトムブラケットは、自転車の心臓部ともいえる重要なコンポーネントであり、正しい理解と適切なメンテナンスが求められます。

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