コンラート1世 (オセール伯)

コンラート1世：カロリング朝時代の伯

コンラート1世（800年頃 - 864年頃）は、9世紀のフランク王国において重要な役割を果たした貴族です。アールガウ伯、オセール伯（860年以降 - 864年頃）、そして短期間ではありますがパリ伯（858年 - 859年）を歴任しました。また、オセールのサン＝ジェルマン修道院の在俗修道院長も務めています。

生涯

コンラート1世は、アルトドルフ伯ヴェルフ1世を父に持ち、フランク王ルートヴィヒ1世の妃ユーディトの兄弟にあたります。つまり、カロリング王家と密接な関係にありました。

858年、コンラート1世とその一族は、東フランク王ルートヴィヒ2世を見限り、ユーディトの息子であるシャルル2世のもとに鞍替えするという大胆な行動に出ます。この行動は、彼らにとって大きな転換点となりました。シャルル2世はコンラート1世らに手厚い見返りを与え、その結果、コンラート1世は多くの伯位を手に入れることになります。しかし、ルートヴィヒ2世はバイエルンにおけるコンラート1世の領地を没収し、両者の関係は悪化しました。

『Miracula Sancti Germani』という文献には、コンラート1世の結婚に関する記述があり、彼が「Chuonradus princeps」（侯、君主）と呼ばれていたことが記されています。このことは、彼が当時非常に重要な地位にあったことを示唆しています。また、一説によれば、コンラート1世の妻アデライードは、夫の死後、ロベール豪胆公と再婚したと伝えられています。

結婚と子女

コンラート1世は、834年から838年の間に、トゥール伯ユーグの娘アデライード・ド・トゥールと結婚しました。この結婚により、彼はさらに有力な家系との繋がりを得ることになります。

二人の間には、多くの子が生まれました。

ユーグ（886年没）：サン＝ジェルマン修道院長、ケルン大司教
コンラート2世（876年没）：オセール伯
ルドルフ（864年以前没）：サン＝リキエ修道院長、ジュミエージュ修道院長
ユーディト：コンラディン家のラーンガウ伯ウード2世と結婚。彼女の孫は、後の東フランク王コンラート1世となります。

また、以下の人物もコンラート1世の子（あるいはコンラート1世の弟ルドルフの子）と考えられています。

ヴェルフ1世（2世）（876年以前没）：アルプガウ伯、リンツガウ伯

コンラート1世の血筋は、その後のヨーロッパの歴史に大きな影響を与えました。特に、娘ユーディトを通じて、東フランク王コンラート1世を輩出したことは、彼の家系の重要性を示すものです。コンラート1世は、カロリング朝の衰退と新たな勢力の台頭という激動の時代を生き抜き、その足跡は歴史に深く刻まれています。

参考文献

Heidecker, Karl Josef (2010). The Divorce of Lothar II: Christian Marriage and Political Power in the Carolingian World. Cornell University Press
Nelson, Janet L. (1996). Frankish World, 750-900. Hambledon Press
Reuter, Timothy, ed (1992). The Annals of Fulda. II. Manchester University Press

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