コーシカ

コーシカ - 札幌のロシア料理店の歴史

札幌市中央区の狸小路商店街に位置していた「コーシカ」は、1977年に開店し、長年にわたり多くの人々に愛されてきたロシア料理店です。2014年に閉店するまで、こちらの店は独特な雰囲気と魅力的なメニューを提供しており、訪れる人々に温かみのある体験を提供しました。

創業の背景

この店を開いたのは、小樽出身の宮尾長治さんです。彼の人生は波乱に満ちており、第二次世界大戦前から戦中にかけて南満州鉄道に勤務し、その後シベリア抑留を経験した後、サラリーマンとしての生活を送りました。やがて、 妻のすゞ子さんとともに「コーシカ」を開店することになります。

店名の由来は興味深いもので、ロシア語で「ネコ」を意味する「Кошка」に由来しています。宮尾さんの名字がロシア語におけるネコの鳴き声に似ていたため、抑留中に彼に与えられた渾名が「コーシカ」であり、これを店名としたのです。このユニークなエピソードは、店のアイデンティティを形成する重要な要素となりました。

経営の継承

長治さんが亡くなった後、妻のすゞ子さんが店を引き継ぎ、しばらくは彼女が温かい料理を提供し続けました。しかし、すゞ子さんが亡くなると、長男の政志さんが経営を担うことになりました。家族の歴史が色濃く反映されたこの店は、訪れる人々に温かさを感じさせてくれる場所でした。

店舗の特徴と雰囲気

コーシカは、その外観から多くの人を引きつけました。店舗の外壁は丸太で装飾されており、訪れた人には親しみやすい印象を与えていました。店内には、ロシアの民芸品や食器が飾られており、ソビエト連邦時代の酒瓶なども展示されていました。これらの品々は、訪問者にロシアの文化を体感させる要素となっていました。また、ロシアのポピュラー音楽や民謡が流れる中で、料理を楽しむことができました。

人気のメニュー

コーシカでは、様々なロシアの料理が提供されていました。特に人気だったのは、ピロシキやボルシチ、ペリメニ（水ぎょうざ）、パンの蓋付きのつぼ焼きなどです。これらの料理は、訪れる人々に味わい深い食体験を提供し、食事を楽しむ場を作り出していました。料理は芳醇な香りを漂わせ、ロシアの家庭料理の温かさを感じさせてくれました。

終わりに

このように、コーシカは単なる飲食店ではなく、家族の歴史や価値観、文化が詰まった特別な場所でした。2014年11月1日に閉店するまで、コーシカは多くの人にとって大切な思い出の一部となり、札幌の食文化の一端を担っていました。その魅力的な雰囲気と料理は、今でも多くの人々の心に残っていることでしょう。

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