コース (ゴルフ)

ゴルフコース

ゴルフにおける「コース」とは、1ラウンドの競技を行うために定められた全18ホールを含む区域全体を指します。この広大なエリアは、プレーの進行や規則に基づき、いくつかの主要な区域に分類されています。2019年にはゴルフ規則が大幅に改定され、コース内の区域区分や名称、ルールの適用方法に変更が加えられました。

コースを構成する区域

現在のゴルフ規則では、コースは主に以下の5つの区域に明確に区分されています。

1. ティーイング・エリア (Teeing area)
各ホールの最初のショット（第1打）を打つために設けられた出発地点です。プレーヤーはここでティーアップしてボールを打つことができます。複数のティーイングエリアが用意されていることが一般的で、難易度や性別、競技形式によって使用する場所（例：バックティー、レギュラーティー、レディースティーなど）が異なります。プレーのスタート時間に遅刻した場合、厳しいペナルティが課されることがあります。

2. ジェネラルエリア (General area)
コース内の大部分を占める区域で、ティーイング・エリア、ペナルティ・エリア、バンカー、パッティング・グリーンを除いた全ての場所を指します。以前は「スルーザグリーン」と呼ばれていました。この区域は、芝が短く管理された「フェアウェイ」と、比較的芝が長く刈られていない「ラフ」に大別されます。

3. ペナルティ・エリア (Penalty area)
コース内に存在する池やクリーク、排水溝など、水やそれに類する障害物のある区域です。この区域は通常、黄杭または赤杭、あるいはそれらを結んだラインによって境界が示されます。2019年の規則改正前は、バンカーと共に「ハザード」という大きな分類の中に含まれており、「ウォーターハザード」などに細分類されていました。ペナルティ・エリアにボールが入った場合、特定の規則に基づいた処置（ドロップなど）が必要となり、通常は1打罰が科されます。
イエローペナルティエリア: 黄杭で示される区域で、以前のウォーターハザードに相当します。
レッドペナルティエリア: 赤杭で示される区域で、以前のラテラルウォーターハザードに相当します。2019年の改正で、対岸からのドロップといった一部の救済方法が廃止されました。

4. バンカー (Bunker)
砂が敷き詰められた窪地で、プレーヤーにとって困難な状況を作り出す障害物として設置されています。以前はペナルティ・エリアと同様に「ハザード」の一部として扱われていましたが、2019年の規則改正により独立した区域となりました。バンカー内でのプレーには特有の規則が適用されます。

5. パッティング・グリーン (Putting green)
各ホールの最終目的地であり、カップ（ホール）が設けられた区域です。非常に短く刈り込まれた芝で覆われており、ボールを転がしてカップに入れるための区域です。

その他の区域と概念

アウト・オブ・バウンズ (Out of Bounds - OB)
コースの外側の区域、すなわちプレーが禁止されている区域です。通常、白杭やフェンスなどによって境界が示されます。ボールがこの区域に入った場合、1打罰が科され、多くの場合、元の場所の近くから打ち直す必要があります。

コースの全長とパー (Par)
ホールの「全長」は、ティーイング・エリアからパッティング・グリーンの中心までの距離を、理想的なショットの軌道を直線で結んだ合計距離として定義されます。この全長に基づいて、そのホールを基準となる打数（パー）で終えることが想定されます。パーの基準は距離によって異なり、男子と女子で基準となるヤード数に違いがあります。
| パー | 男子全長 (ヤード) | 女子全長 (ヤード) |
| :: | :---- | :------ |
| 3 | 250以下 | 210以下 |
| 4 | 251-470 | 211-400 |
| 5 | 471-690 | 401-575 |
| 6 | 691以上 | 576以上 |
日本ではパー3を「ショートホール」、パー4を「ミドルホール」、パー5を「ロングホール」と俗称で呼びますが、これは国際的にはあまり使われません。
なお、コースの全長は理想的な平面図上の距離であり、実際のプレーでゴルファーが移動する距離は、ボールの曲がりや起伏などにより、この全長よりも長くなるのが一般的です。

カップ (Cup) / ホール (Hole)
パッティング・グリーンの中心にある、ゴルフボールを入れる目標となる穴です。規則上は「ホール」と呼ばれ、直径は4.25インチ（約10.8cm）、深さは4インチ（約10.2cm）と定められています。

サブグリーン (Sub green)
メインのグリーンが使用できない場合などに備えて設けられている予備のグリーンです。プレーヤーが誤ってサブグリーンにボールを打ち込んだり、立ち入ったりしないよう、修理地として扱われ、その上からのプレーは禁止されています。

このように、ゴルフコースは単なる広場ではなく、明確な区域区分とそれに基づいた詳細な規則によって成り立っており、プレーヤーはその規則に従って競技を進めます。2019年の規則改正は、プレーのペースアップや理解の容易化などを目指して行われ、コース内の区域の扱いや名称にも変化をもたらしました。

もう一度検索