ヤード

ヤード（yard、碼）

ヤードは、ヤード・ポンド法における長さの単位であり、主にイギリスとアメリカ合衆国で広く使用されています。また、ゴルフやアメリカンフットボールなどの特定のスポーツにおいても、この単位が用いられています。

定義と基本情報

ヤードは、身体尺を起源とする単位とされており、その基準は過去において不安定でした。しかし、現在は国際単位系のメートルを基準にして、1ヤードは正確に0.9144メートルと定義されています。また、1ヤードは3国際フィートに相当し、1フィートは12インチであるため、1ヤードは36インチに等しいです。さらに、1国際マイルは1760ヤードに設定されています。

このように、ヤードはヤード・ポンド法における長さの基本単位として位置付けられています。他の単位は、主にヤードの分量や倍量に基づいた単位で形成されています。ヤード・ポンド法に時間の単位である秒を加えた場合、その単位系は「FPS単位系」と呼ばれています。

面白いことに、1ヤードは成人男性の一歩の長さと概ね一致すると言われています。

ヤードの歴史

起源

ヤードの起源については様々な説がありますが、長さの基準として、古代ギリシャで使用されていたキュビットの2倍にあたるダブルキュビットが元になっていると考えられています。また、アングロサクソン人が使ったウェスト（腰回りのサイズ）がヤードとされる説や、イングランド王ヘンリー1世が自分の鼻先から親指までの距離をヤードと定義したという説もあります。これらは、ダブルキュービットから派生した様々な単位の起源であり、統一のためにヤードという単位が作られたとされます。また、「ヤード」という言葉は、まっすぐな枝や棒を意味すると言われています。

初期のヤードの分量単位には、「half-yard」や「span」、「finger」、「nail」と呼ばれるものがありました。1855年には、イギリスとその連邦国で青銅製の「帝国標準ヤード原器」が制作され、その長さを帝国標準ヤードとして定義しました。アメリカ合衆国では、1893年にヤードがメートルを基準として定義されることになりました。

国際的な標準化

1958年には、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、イギリス、アメリカの6か国によって、1ヤードを正確に0.9144メートルと定義する国際協定が結ばれました。この協定に基づいて、1フィートは0.3048メートル、1インチは0.0254メートルと定められました。しかしイギリスでは法律上の標準としてヤード原器が使用され続けており、1963年に度量衡法が改正されるまでこの状態が続きました。アメリカでも「測量フィート」があるものの、「測量ヤード」は定義されておらず、国際ヤードが主に使用されています。

現在の利用状況

ヤードは、かつて欧米において広く使用されていましたが、現在では主にイギリスとアメリカ合衆国で使用されています。日本では、一般的にヤードの使用は禁止されていますが、一部のスポーツでは依然として使われています。特に、アメリカンフットボールでは、選手のパフォーマンスを測る際の重要な指標として「獲得ヤード数」が用いられています。

ゴルフにおいても、ヤードが慣用的に使用されており、かつては日本のゴルフ場でもヤード表示が行われていましたが、1976年から1984年にかけて移行が試みられた時期もありました。しかし、国際大会ではヤードが引き続き使用されているため、メートル法が完全に定着することはありませんでした。

単位記号とその他の情報

ヤードの単位記号は、ISOおよびJISにおいて「yd」と定められています。このため、日本の計量法でも同じ単位記号が使われています。また、漢字で「碼」と表記されることもありますが、特に布地の長さを表す際には「ヤール」という名称が使われることもあります。

結論

ヤードは、歴史を持つ多面的な長さの単位であり、依然として特定の地域やスポーツで利用されています。国際的な標準化のおかげで、ヤードは現在も使われ続けている重要な単位であると言えるでしょう。

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