コーナーキューブ

コーナーキューブ：光と電波を自在に操る反射装置

コーナーキューブとは、光や電波を反射させるための装置です。3枚の平面鏡を互いに直角に配置した立方体の頂点部分のような形状が特徴で、入射した光や電波を正確に元の向きへ戻す性質を持っています。このため、リトロリフレクター（逆反射器）の一種に分類されます。英語ではCorner cubes、Cube corners、Corner reflectorなどと呼ばれています。

材質は、光を扱う場合は鏡やガラス、電波の場合は金属板が用いられます。入射した光や電波は、これらの平面鏡で1回から3回反射を繰り返した後、入射方向と完全に逆の方向へ戻ります。この原理は、コーナーキューブミラーやコーナーキューブプリズムと呼ばれることもあります。

コーナーキューブの原理

その反射原理を理解するために、まず2次元の場合を考えてみましょう。2枚の鏡を直角に配置し、光を入射させます。光はそれぞれの鏡で反射し、最終的に元の向きへ戻ってきます。これは、それぞれの鏡での反射角が等しいためです。

3次元の場合、つまり3枚の鏡を使ったコーナーキューブでも、原理は基本的に同じです。どの角度から光が入射しても、必ず元の向きへ戻ってくるという再帰性反射の性質を示します。この性質は、様々な応用において重要な役割を果たします。

コーナーキューブの応用例

コーナーキューブは、私たちの身近な場所にも数多く利用されています。

道路標識や車両の反射板: 道路脇や車両に取り付けられた反射板は、小さなコーナーキューブを多数並べたものです。夜間、自動車のヘッドライトなどの光を反射し、運転者に道路状況を知らせる役割を果たします。通常、道路用は黄色、車両用は前方が黄色で後方が赤と黄色に色分けされています。自転車の反射板や、自動車のテールランプ・ブレーキランプのレンズにも利用されています。
測量: 高精度のコーナーキューブは測量にも用いられます。レーザー光を照射し、反射光が戻ってくるまでの時間を測定することで、正確な距離を計測します。アポロ計画において、月面に設置されたレーザー反射鏡もコーナーキューブを利用したものです。また、日本の測地衛星「あじさい」も多数のコーナーキューブを搭載していました。
* レーダーリフレクター: レーダーから発せられたマイクロ波をレーダーアンテナの方向へ正確に反射させる装置として利用されます。船舶や航空機において、レーダーでの識別を容易にするために使用されます。

リバーサルミラー

コーナーキューブの原理を応用した装置に、リバーサルミラーがあります。これは、2枚の鏡を直角に組み合わせたもので、通常の鏡とは異なり、左右が逆転せずに、対象物をそのままの姿で映し出します。

その他の応用例

ガラス球なども、コーナーキューブと同様の再帰性反射を示します。微細なガラスビーズを塗料に混ぜた反射材は、交通標識や安全目的の衣類などに使われています。また、ビーズスクリーンと呼ばれる映写機のスクリーンにも利用されています。

このように、コーナーキューブは、その高い反射精度と多様な応用性から、様々な分野で重要な役割を果たしている技術です。今後も、更なる技術開発と応用が期待されます。

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