ゴブリン公爵

ゴブリン公爵：古代の巨人と超能力の攻防

手塚治虫のSF漫画『ゴブリン公爵』は、1985年から1986年に週刊少年チャンピオンで連載された作品です。古代中国の殷王朝が守護神として創造した青銅製の巨大人型兵器「燈台鬼」を軸に、超能力バトルと国際的な陰謀が絡み合う、手に汗握る物語が展開されます。

物語は、予知夢を見る少年・珍鬼が、3000年前の殷王朝が創造したとされる巨大な青銅の巨人、燈台鬼を発掘する場面から始まります。燈台鬼は、念動力で操る事ができる恐るべき破壊兵器であり、珍鬼は、燈台鬼を操る能力を持つ少女・愛愛と出会います。

燈台鬼は愛愛の制御を逸脱し、街を破壊した後、黄河の底に沈みます。時は流れ、1980年代の沖縄。超能力を身につけた珍鬼は、ゴブリン公爵と名乗り、潜水の名手である徳川貫一を雇い、黄河の底に眠る燈台鬼の復活を企てます。しかし、愛愛の妨害により、貫一の殺害は失敗に終わります。

その後、燈台鬼、貫一、愛愛は、超能力研究所の所長である天乱和尚に保護されます。天乱和尚は燈台鬼を正義のために利用しようと試み、ベトナム難民キャンプにワクチンを届ける計画を実行します。ワクチンは無事に届けられますが、燈台鬼の姿を見た難民たちは恐怖に慄きます。

一方、ゴブリン公爵は、プラネリア共和国にある日本企業の石油プラットフォームを制圧し、燈台鬼を参考に念動力で操縦できるロボイドを開発していました。天乱和尚は、燈台鬼、貫一、愛愛を派遣し、激しい戦闘の末、ロボイドとゴブリン公爵を撃破したかに見えました。

しかし、日本へ向かう石油タンカーに乗り込んだ燈台鬼、貫一、愛愛たちを待ち受けていたのは、ゴブリン公爵が憑依した石油プラットフォーム社長でした。最終的に、ゴブリン公爵は燈台鬼に憑依し、日本全土を破壊の危機に陥れます。瀕死の愛愛は、自身も燈台鬼に憑依し、ゴブリン公爵の精神と戦い、最後は浅間山の火口に身を投じ、溶岩によって燈台鬼＝ゴブリン公爵を消滅させます。

主要キャラクター

珍鬼/ゴブリン公爵: 予知夢を見る少年。物語の主人公であり、物語のキーとなる燈台鬼の発掘を指示します。冷酷な一面を持つ一方で、人間的な弱さも併せ持つ複雑なキャラクターです。
愛愛: 燈台鬼を操る能力を持つ少女。珍鬼と出会い、運命を共にしますが、やがて彼の野望を阻止しようとします。
天乱和尚: 超能力研究所所長。燈台鬼を正義のために利用しようとしますが、ゴブリン公爵と対立します。
徳川貫一: 潜水の名手。ゴブリン公爵に雇われますが、やがて愛愛と共にゴブリン公爵に立ち向かいます。
* 燈台鬼: 殷王朝が作った巨大な青銅の巨人。念動力で操られ、凄まじい破壊力を持つ兵器です。

『ゴブリン公爵』は、手塚治虫作品の中でも異色のSFアクション漫画です。古代の巨人と超能力、国際的な陰謀、そして主人公の葛藤が複雑に絡み合い、読者を最後まで魅了する作品となっています。様々な解釈が可能なエンディングも、本作の魅力の一つと言えるでしょう。

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