ゴルディーニ

ゴルディーニの歴史と影響

ゴルディーニ（Gordini）は、かつてフランスで栄えた自動車のチューニング専門メーカーで、そのユニークな存在は多くのモータースポーツファンの心を掴んできました。このブランドは、ルノーが今なお商標を保持していますが、その背後には素晴らしい歴史があります。

創業と初期の成功

ゴルディーニは、イタリア出身のアメデ・ゴルディーニの手によって設立されました。彼は第一次世界大戦の戦場を経て、自動車のチューニングに情熱を注ぎ始めます。特にフィアット車を扱うことで、モータースポーツ界で注目を浴びることに成功しました。この実績に着目したのがフランスの自動車メーカー、シムカでした。1930年、シムカとの提携により、チューニングされたシムカ車でモータースポーツシーンに参入。ル・マン24時間レースではクラス優勝を果たすなど、その名声を確立しました。

F1参戦とその後

1950年からは「シムカ・ゴルディーニ」の名称でF1に出場し、モーリス・トランティニアンやジャン・ベーラといった有名なドライバーを起用しましたが、成績は思わしくなく、1952年にはシムカとの提携を終了。これ以降は「ゴルディーニ」として独立した参戦となりますが、資金不足の問題もあり、勝利を掴むことなく1956年にF1から撤退することになります。

撤退後の1956年、ゴルディーニはルノーと新たに提携し、ドーフィンを基にしたチューニングカーを発表。そして1964年には、「R8」のスポーツバージョン、すなわち「R8 ゴルディーニ」を世に送り出し、同年のツール・ド・コルスでデビュー戦を制しました。この成功により、1966年には世界初のワンメイクレース「ゴルディーニ・カップ」を創設し、信頼性・性能ともに優れた同社の製品を確立しました。

ルノーとの統合

1969年にはルノーに株式を売却し、ゴルディーニは同社の一部門となります。その後も、R12などのモデルにゴルディーニの名を冠したバージョンが展開され、ルノー車のエンジン開発において重要な役割を果たしました。1975年にはルノー本社を離れ、ルノー・スポール（旧・アルピーヌ）に経営統合されました。

現代のゴルディーニ

2009年、ルノーは将来的に発売されるスポーツモデルに「ゴルディーニ」の名を再び冠することを発表しました。その第1弾として、ルノー・トゥインゴに「ゴルディーニ・ルノー・スポール」が登場し、2011年には日本市場でも販売が開始されました。この特別仕様は、かつての「R8 ゴルディーニ」を彷彿とさせるフレンチブルーに白いストライプが特徴です。さらに、ルノー・クリオ（ルーテシア）やルノー・ウインドのゴルディーニ仕様も相次いで登場し、ブランドの伝統が受け継がれています。

ゴルディーニは、消えゆくもその名を依然として生かし続けるブランドです。その歴史は、単なるチューニングメーカーの枠を超え、多くの自動車愛好者にとってのアイコンとなっています。

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