ゴルビーのパイプライン大作戦

『ゴルビーのパイプライン大作戦』の魅力に迫る

『ゴルビーのパイプライン大作戦』は、1991年4月12日に徳間書店から発売されたファミリーコンピュータ対応のパズルゲームです。同日に、コンパイルからもMSX2版とFM TOWNS版が販売されるなど、複数のプラットフォームで楽しめる作品となっています。ゲームのコンセプトは落ちもの、すなわち落下してくるブロックを組み合わせることにありますが、その中身は独自の魅力にあふれています。

ゲームの主な目的は、落ちてくるブロックに描かれたパイプをつなげて水を流すことです。ブロックは二つの正方形がつながった形状をしていて、適切に配置しないとすぐに切り離されてしまいます。画面には、左右に水を流すための穴が無数に開いており、ブロックを組み合わせてパイプラインを形成し、右側の穴から左側の穴へ水を流します。パイプラインが完成すると、それは消去され、その下にあったブロックはブルーブロックに変化し、このことがスコア向上に寄与します。

水は右側の壁の一番下から流れてくるため、プレイヤーは水が詰まらないように注意を払わなければなりません。もしブロックで水の流れが阻まれると、最下部にある空いているパイプから流れてしまいます。そして、全てのパイプが塞がれるか、新たなブロックが落下する位置まで積み上げてしまった場合、ゲームオーバーになるのです。特に進行するにつれて、出口となるパイプは少なくなり、難易度が上がります。

このゲームにはさまざまなアイテムも存在し、ブロックを削るドリルや、パイプラインの先端が特定の位置にある場合に発動する「水滴」などがあります。これらのアイテムは、戦略的にパイプラインを構築するうえで非常に重要です。

また、ゲームの難易度は高めで、パイプの先端だけでなく、その下に積まれたブロックの向きも計算に入れる必要があります。特にパイプの先端が塞がれてしまうと、ドリルで削除しない限りやり直しになるため、慎重なプレイが求められます。

興味深いことに、ゲームのBGMにはロシアのクラシック音楽が使われており、これがプレイヤーから高評価を得ています。そのため、ゲームプレイ中には耳馴染みのあるメロディが流れ、プレイヤーを引き込む要素となっています。

ゲームの背景にあるのは、MSX専門誌に掲載されたプログラム「水道管II」がきっかけです。これが好評を得て、仁井谷社長の采配により、ソ連のゴルバチョフ書記長を主人公に据えた商業化が進められました。「ゴルビー」という愛称は彼の人気を反映しており、プレイヤーはゲームを通じて日ソ間の友好関係を強化することを目的としています。

なお、2021年にはこのゲームの権利がD4エンタープライズに移行し、タイトルも変更されるなどの変遷がありました。それでも、元々の特色を大切にしたバージョンも存在し、ファンには根強い人気があります。『ゴルビーのパイプライン大作戦』は、ただのゲームではなく、政治的背景を持つユニークな作品であったことを忘れてはなりません。

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