MSX2

MSX2（エム・エス・エックス・ツー）について

MSX2は、1985年に登場したMSX規格の一つであり、リリース当初はMSX1と共に販売されました。この新しい規格は、主にグラフィック機能の大幅な強化が施されており、後方互換性も保持されています。発売は1985年6月から始まり、その後すぐに多くの機種が市場に登場しました。

発売当初の状況

MSX2はFDD（フロッピーディスクドライブ）や漢字ROM、メモリのマッピング機能を備え、初代MSXと明確に差別化されました。多くの機種が高価なセパレートモデルとして販売され、市場には高性能な製品が多数登場しました。しかし、この時期、PC-8801mkIIFRやX1turbo II、FM77AV20など、同価格帯の競合機種がひしめいていたため、MSX2の普及は緩やかでした。

また、発売時にはメガROMカートリッジが未登場であり、FDDを搭載していない標準仕様のMSX2ではその拡張されたグラフィック機能を活かしきれませんでした。当初は、MSX1に代わって徐々にユーザー層を広げる形で普及し、特にワープロ専用機が人気を博していました。

低価格機の登場

1986年秋には松下電器産業とソニーから、低価格帯の本体一体型モデルが登場しました。これは、製造コストの削減に加えて、メガROMカートリッジの登場によって実現した価格競争の結果です。これにより、主に子どもや学生をターゲットにしたゲーム機としての位置づけが確立され、MSX2は急速に普及しました。1987年には後継モデルが登場し、さらに多くのソフトウェアがMSX2向けにリリースされました。

競争と技術の進化

MSX2は初代規格からの技術的な進化により、VDP（ビデオディスプレイプロセッサ）はヤマハ V9938が搭載され、高度なグラフィック表示が可能になりました。これにより、画面モードが増加し、ビットマップ表示やスプライト機能が拡張されましたが、性能面ではまだゲーム専用機に劣る部分もありました。また、解像度が他の国産機と異なり、漢字ROMがオプションだったため、移植作業にも影響を及ぼしました。

メモリマッパと拡張性

MSX2では、最大64KiBのメインメモリーに加え、オプションとしてメモリマッパが追加され、システム全体で最大64MiBのメモリ空間を持つことができました。これにより、ソフトウェアの対応が進んでいきましたが、実際にはフル実装された環境はまれで、特に国内ソフトウェアのサポートが遅れていました。

機種展開とメーカーの動き

MSX2を支えたのは、多様なメーカーの参入でした。ソニーや松下、日立などがそれぞれに特色ある機種を展開し、多様なニーズに応えていきました。しかし、低価格地帯の激化に伴い、他社はMSX規格から撤退する動きも見られました。

結論

MSX2はその後のMSX規格のスタンダードとして、多くのファンを獲得しました。400万台以上の出荷が公称され、国産パソコンの歴史に名を刻んでいます。グラフィック表現の進化や、低価格での普及に成功したことが、MSX2をただのゲームマシン以上の存在に仕立て上げました。

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