ゴースト (マクロスシリーズ)

マクロスシリーズの無人戦闘機「ゴースト」

「ゴースト」は、SFアニメ『マクロス』シリーズに登場する無人戦闘機の総称です。オーバーテクノロジーを駆使して開発されたこれらの機体は、有人機では実現できない高い運動性能と、パイロット養成コストの削減というメリットを併せ持ちます。

マシン・マキシマム構想

有人戦闘機は、パイロットの身体的限界により、機体の運動性能に制約を受けます。一方、無人戦闘機は生命維持装置が不要なため、機体の限界まで性能を追求できます。この設計思想は「マシン・マキシマム構想」と呼ばれ、より高次元の戦闘を可能にします。

また、熟練パイロットの養成には時間とコストがかかりますが、無人機であれば均質な戦闘水準の兵力を量産できます。『マクロスゼロ』では、統合戦争の長期化によるパイロット不足を背景に、ゴーストの必要性が示唆されています。

無人機の課題とAIの進化

しかし、無人機には弱点も存在します。無線遠隔操作タイプは、敵のECM（電子戦）攻撃により無力化される可能性があります。完全自律型のAI搭載機は理想的ですが、ハッキングによる乗っ取りのリスクがあります。『マクロスプラス』では、試作機X-9が「シャロン・アップル事件」でその危険性を露呈し、AIの判断行動そのものが持つ危険性が指摘されました。その後、『マクロスF』では半自律型のゴーストが制式化されますが、ECM攻撃には依然として脆弱です。そのため、フォールド通信システムという新しい通信方式を採用したゴーストが試験運用されています。

『マクロスΔ』以降では、ゴーストは武装や補助ブースターとしての役割を担う半自立AI制御の支援機として進化しました。『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』では、有人可変戦闘機からの誘導や、機体との合体による出力向上といった、サポート機としての進化を遂げています。

デザインと初期設定

ゴーストシリーズのデザインは、スタジオぬえの宮武一貴が担当しました。原案は、宮武が学生時代にSF同人誌に投稿した小説に登場する無人攻撃機「スーパーバード」です。小説「SUPERBIRD」では有人機として描かれていますが、機体制御はAIが主となっています。続編の「コッペリア -COPPELIA-」では、無人AIによる独立型兵器システムとして描かれ、機体の挙動や判断に個性が生まれることが示唆されています。

『超時空要塞マクロス』では、ゴーストの登場シーンは少ないですが、これは「圧倒的な速度差と運動能力の差を描こうとした結果、ほとんどフレームの中に収まっていない機体になったため」とされています。『マクロスプラス』の空中戦シーンでは、残像しか視認できないほどの速さが表現され、その性能が際立っています。

各機種の紹介

QF-2200D: 『マクロスゼロ』に登場する初期型の小型無人戦闘偵察機。ステルス性が考慮された設計で、VF-0 フェニックスのブースターとしても使用されました。
QF-3000E: 『超時空要塞マクロス』に登場する初の小型熱核タービンエンジン搭載機。大気圏内外での活動が可能で、第一次星間大戦で運用されました。
QF-9iE: PCゲーム『超時空要塞マクロスリメンバー・ミー』に登場するQF-3000Eの次世代機。搭載火器が大幅に増強されています。
X-9: 『マクロスプラス』に登場する究極の自律型無人戦闘機。シャロン・アップルのデータがAIに利用されていますが、事件により採用中止となりました。
AIF-9B: ゲーム『マクロス VF-X2』に登場するX-9の実戦配備機。赤いカラーリングが特徴です。
AIF-7S: 『マクロスF』に登場する制式・量産化された機種。半自律型のAIを搭載し、ECM攻撃に弱いという欠点があります。
QF-4000: 『マクロスF』に登場するAIF-7Sのアップデート機種。フォールド通信誘導システムを搭載し、ECM対策が施されています。封印された「ユダ・システム」を搭載し、高い戦闘能力を発揮します。
AIFX-8S: 『マクロスF』のドラマCDに登場する次世代ゴースト。人間的な人格AIを搭載しています。
AIF-9V: 『マクロスF』に登場するマクロス・ギャラクシーの主力無人戦闘機。完全自律型のAIを搭載していますが、カウンターテロ以外での使用は禁止されています。
QF-5100D: 『劇場版マクロスF サヨナラノツバサ』に登場する大気圏内用の汎用無人偵察戦闘機。VF-27γのスーパーパックのブースターウェポンユニットとして登場します。
LD-262S リル・ドラケン: 『マクロスΔ』以降に登場するSv-262のための増槽も兼ねる小型無人支援戦闘機。VF-31への装備・換装も可能です。
Sv-303 ヴィヴァスヴァット: 『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』に登場する量子AIシステムでコントロールされる無人機。
* ゴースト / スーパーゴースト: 『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』に登場するケイオスが運用している無人戦闘機。

商品化

ゴーストは、やまとやバンダイなどからプラモデルやトイが発売されています。

まとめ

無人戦闘機ゴーストは、『マクロス』シリーズにおいて、技術の進歩と倫理的な問題提起を象徴する存在です。その進化の過程は、AI技術の可能性と危険性を示唆し、私たちに未来の兵器のあり方を考えさせます。

もう一度検索