ゴールデンラズベリー賞

ゴールデンラズベリー賞（ゴールデンラズベリーしょう）

アメリカの映画界において、最もユニークで風刺的な賞として知られるゴールデンラズベリー賞。通称ラジー賞は、毎年アカデミー賞の前夜に開催され、「最低の映画」を表彰します。1981年に映画プロデューサーのジョン・J・B・ウィルソンが創設し、以来、映画界の失敗作や駄作をユーモラスに称える取り組みが続いています。

賞の目的と選考方法

この賞は、単なる批判というよりは、映画界の成功と失敗の両方を際立たせるもので、各部門において「最低」とされる映画や演技に贈られます。選考は「ゴールデンラズベリー賞財団」の会員が行い、一般映画ファンでも小額の会費を支払うことで投票に参加することが可能です。ただし、受賞者はあまり受賞トロフィーを受け取ることはなく、しばしば当日出席することすらありません。そのため、トロフィーを持ち帰るのは非常に珍しいことです。

トロフィーとそのデザイン

ゴールデンラズベリー賞のトロフィーは、見た目にもユーモラスで、金色に塗ったラズベリーのような球体が特徴です。製作コストはわずか4ドル79セントとも言われていますが、近年はその素材が入手困難になり、価格が上昇しています。受賞時のゴージャスさとは裏腹に、見た目の安っぽさがまたこの賞のユーモアを引き立てています。

過去の受賞者とエピソード

歴史の中で、ラジー賞は多くの有名人を受賞者として迎えてきました。たとえば、初代受賞者であるニール・ダイアモンドは、同じ作品『ジャズ・シンガー』でラジー賞とゴールデングローブ賞を両方受賞しています。このように、単に悪い映画だけでなく、才能のある出演者が意外な過ちを犯すこともあるという複雑さを反映しています。

さらに、キュートさやキャラクター性が強すぎるゆえにマニアに特別な評価を受ける映画も数多く存在します。『ショーガール』や『ハドソン・ホーク』など、批評家からの辛辣な評価を受けつつもカルト映画として根強いファンを持つ作品も多いです。これらの映画は、時折再評価され、もしかしたら思いがけない評価を得る場合もあります。

近年のトピック

最近では、子役が対象とされたノミネートが大きな議論を呼びました。2023年に、トラブルを引き起こしたのは、映画『炎の少女チャーリー』に出演した12歳の女優ライアン・キーラ・アームストロングが「最低女優賞」にノミネートされたことです。さまざまな批判が寄せられる中、賞の運営側は彼女をノミネートから外し、今後18歳未満の俳優はノミネート対象から外すと発表しました。このエピソードは、賞を運営する側の感受性についての重要な教訓となりました。

ラジー賞の意義

ラジー賞は、単なるネガティブ賞ではなく、映画産業における成功と失敗を批評的に再考する機会を提供します。映画が持つ多様さを認識し、健全な批評文化を育む一助となっているのです。そのユーモラスな側面と、時折思わぬ再評価を受けることで、映画の多様な景色を観察する楽しみをも提供してくれます。

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