ラズベリー

ラズベリーの魅力と多様性

ラズベリー（英語: raspberry）は、バラ科のキイチゴ属 (Rubus) に属し、果実として親しまれている低木です。その果実は、フランボワーズという名でも知られており、広い地域で栽培されています。ラズベリーは、赤、黄色、黒の色合いを持ち、味も豊かです。

歴史と栽培の背景

キイチゴ属の植物は、甘酸っぱい果実が特徴で、古くから人間に食用として親しまれてきました。特にヨーロッパに自生する種は、ヨーロッパ人の嗜好に合い、好まれました。16世紀から17世紀にかけてイギリスで栽培が始まり、1548年には最初の栽培記録が残っています。その後、18世紀後半に北米に導入されましたが、風土の違いから生産は限定的でした。19世紀になって、北米で自生する種が栽培化され、再びヨーロッパに導入されました。

種類と特性

ラズベリーと呼ばれる植物群は、主にヨーロッパキイチゴ（Rubus idaeus subsp. idaeus）を基にした栽培品種のことを指します。広義には、果床が木質化するキイチゴ属の全ての種類がラズベリーとして扱われます。これを考慮すると、日本の自生キイチゴ属もラズベリーに分類されます。日本には、エゾイチゴやミヤマウラジロイチゴなどの亜種が存在しています。

ラズベリーには、北米原産のアメリカンレッドラズベリー（Rubus strigosus）やブラックラズベリー（Rubus occidentalis）も重要な種類として挙げられます。これらの選抜や交配によって、赤、黒、紫のラズベリーが生み出され、果実の色分けがされています。特に黒ラズベリーは、ブラックベリーと混同されがちなため注意が必要です。

主な種

以下は、ラズベリー属の主な種です。

• - Rubus idaeus - ヨーロッパキイチゴ、フランボワーズ
• - Rubus strigosus - アメリカイチゴ
• - Rubus occidentalis - ブラックラズベリー
• - Rubus corchorifolius - ビロードイチゴ

この他にも多くの種が存在していますが、栽培される種類はごく一部に限られます。

栽培方法

ラズベリーは比較的栽培が容易で、家庭菜園にも適した果樹です。樹高が低いため収穫もしやすく、土質を選ばないのも魅力のひとつです。ただし、コガネムシの食害や地下茎による繁殖に注意が必要です。日本では、梅雨時期の雨による病気の発生がしばしば起こるため、通気性を確保したり、罹病した果実を取り除くことが重要です。営利栽培では、ビニールハウスを用いて商品価値を高めるのが一般的です。

食用としての利用

ラズベリーの果実は、色鮮やかで直径1〜2センチメートルと小振りですが、風味と甘み、酸味に優れています。そのため、ジャムや洋菓子、ハーブティー、リキュールなどに幅広く使われます。ただし、果実は日持ちが悪いため、貯蔵する際は冷凍する必要があります。日本では新鮮な果実が販売されることは少ないですが、冷凍品やジャムなどは流通しています。

香りの特徴

ヨーロッパキイチゴの果実には、ラズベリーケトンと呼ばれる芳香族化合物が含まれており、この成分はキウイフルーツや桃などにも見られます。この香りは香料としても利用されており、ラズベリーの独特な魅力を引き立てています。

ラズベリーはその味わいだけでなく、香りや色彩でも人々を魅了し、様々な形での利用が楽しめる果実です。

もう一度検索