サイクル安打

サイクル安打とは

サイクル安打は、野球やソフトボールにおいて、1試合の中で1人の選手が単打、二塁打、三塁打、本塁打をすべて打つことにより達成される重要な記録です。この記録は、別名「一巡安打」や「サイクルヒット」とも呼ばれていますが、特に「サイクルヒット」は日本独自の用語で、英語では「hit for the cycle」と表現されます。

概要

サイクル安打については、もともとは「単打、二塁打、三塁打、本塁打の順に安打を打つ」とされていましたが、現在ではこの順番で安打を記録した場合を「ナチュラル・サイクルヒット」、逆に本塁打から始まるパターンを「リバースサイクルヒット」と呼ぶことで、順序に関係なく達成された単なるサイクル安打と区別されています。

日本プロ野球（NPB）においては、1948年10月2日に藤村富美男がサイクル安打を初めて達成したとされていますが、この記録は後に正式に認定されました。実際には、当時はこの記録の概念が広まっていなかったため、1965年7月16日にダリル・スペンサーが達成した際に、藤村が最初の達成者であることが明らかになりました。藤村は、その後1950年にもサイクル安打を達成し、複数回の達成者としても記録を残しました。

その後、松永浩美、ロバート・ローズ、福留孝介といった選手もこの記録を達成しており、サイクル安打を達成した選手に対しては野球連盟から表彰が行われるようになりました。サイクル安打は、150本塁打や100勝と同様な大きな節目の記録として扱われています。

記録達成の難しさ

サイクル安打を達成する上で、特に難易度が高いとされるのが三塁打です。三塁打は通常の試合状況ではそう頻繁には出ないため、多くの選手がサイクル安打に近い状況にありながらも、三塁打を打つことができずに記録達成を逃したケースが多数存在します。ある場合には、毒島章一が三塁打よりも難しいランニング本塁打を含むサイクル安打を果たしたという例もあります。

また、実際にサイクル安打が成立しそうな試合状況にありながら、次の塁に進んで達成を逃した選手もいます。中島治康は1940年に巨人対セネタース戦で本塁打、二塁打、三塁打を打った後、単打を打置くことなく、二塁打に進んでしまいサイクル安打を達成できませんでした。松井秀喜も同様に2001年に本塁打、二塁打、三塁打を打った際、単打を狙えないまま終わってしまったことがあります。

日本ではポストシーズンでのサイクル安打達成者はまだおらず、公式戦外では古田敦也や近本光司がオールスターゲームで安打を記録したことがあります。メジャーリーグでも、日本人選手がサイクル安打を達成したのは大谷翔平のひとりだけです。

異なるリーグでの状況

メジャーリーグには298人がのべ336回のサイクル安打を達成しており、韓国プロ野球では28人が30回、台湾プロ野球では12回の達成が記録されています。高校野球では選抜と全国大会それぞれで数名の選手がサイクル安打を達成しています。

このように、サイクル安打はプロ野球界において非常に特別な記録であり、選手たちにとって大きな栄誉であると同時に、達成の難しさゆえに特別な意味を持っています。これからも新たな達成者が生まれることを期待したいところです。

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