サイケの世界

『サイケの世界』は、梶山季之が1968年に発表した長編小説です。物語は、美大進学を志す予備校生の西東千代子が、同じ予備校に通う友人である打田ミドリに誘われて、若い芸術家たちが集まる喫茶店に通うようになるところから始まります。

そこで千代子は、独特な雰囲気を醸し出す笠竜之介や、女物のネグリジェを身につけた野上といった、個性的な面々と出会います。さらに、映画監督夫妻が主催する秘密のパーティーに誘われ、そこでハイミナールという薬物を乱用する退廃的な世界を体験することになります。

パーティーは豪邸で開かれ、若い芸術家たちが集まり、薬物と快楽に溺れる様子が描かれています。千代子は、このパーティーで様々な出会いを経験し、自らの価値観や人生観を揺さぶられます。物語は、彼女がそうした非日常的な世界の中で、自身のアイデンティティを模索する姿を描き出しています。

物語に登場する主な人物は以下の通りです。

西東千代子（さいとう ちよこ）: 美大を目指す予備校生。本作の主人公であり、退廃的な世界に足を踏み入れていく。
打田ミドリ（うちだ みどり）: 千代子と同じ予備校に通う友人。千代子を喫茶店やパーティーに誘う。
笠竜之介（かさ りゅうのすけ）: 体にペイントを施し、素足にサンダル履きという独特なスタイルの男性。千代子のヒッピー仲間であり、刑事という別の顔を持つ。
野上（のがみ）: 美大生。女物のネグリジェとゴム長靴を身に着けている。
* 映画監督夫妻: 豪邸に住み、若い芸術家たちを集めて秘密のパーティーを主催する。

この小説は、1960年代後半のカウンターカルチャーや、若者たちの退廃的な生活を描いた作品として知られています。また、薬物乱用や性的な描写も含まれており、当時の社会情勢を反映した作品とも言えるでしょう。

『サイケの世界』は、1968年に桃源社から刊行され、1987年にはケイブンシャ文庫から『遊戯の報酬』と併録される形で再刊されました。ISBNは4-7669-0551-2です。

この作品に関連するキーワードとしては、大学、美術、覚醒剤などが挙げられます。

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