サイモン&シュスター

サイモン&シュスター：アメリカを代表する出版社の歴史と革新

サイモン&シュスター（Simon & Schuster、略称S&S）は、ニューヨーク市に拠点を置く、アメリカを代表する大手出版社です。1924年の創設以来、数々の革新的な取り組みで出版業界に大きな影響を与えてきました。現在はパラマウント・グローバルの傘下にあり、ペンギン・ランダムハウス、ハーパーコリンズなどと並び、「五大出版社」の一つとして知られています。

創業と初期の成功

1924年1月2日、リチャード・L・サイモンとマックス・シュースターによってサイモン&シュスターは設立されました。創業当初は、鉛筆付きのクロスワードパズル本を出版し、大きな成功を収めました。その後、小説、ノンフィクション、児童書など、幅広いジャンルの書籍を扱う出版社へと成長を遂げます。

革新的なマーケティング戦略

S&Sは、積極的な広告戦略と新しいマーケティング手法を導入し、商業的な成功を収めました。また、売れ残った本の代金を補償するという、当時としては画期的なシステムを導入した最初の出版社でもあります。1939年には、ペーパーバックを初めて市場に投入し、子会社のポケットブックスを通じて、書籍の普及に大きく貢献しました。

買収と事業拡大

1944年、デパート経営者のマーシャル・フィールドがS&Sを買収しましたが、1957年にフィールドの死後、創業者のサイモンとシュースターは、投資家の支援を得て会社を買い戻しました。1975年には、複合企業ガルフ+ウエスタンに売却され、その後も多くの出版社を買収することで事業を拡大していきました。1994年には、パラマウント・コミュニケーションズがS&Sを取得。その後、CBSコーポレーションの一部となり、2019年からはパラマウント・グローバルの傘下となっています。

電子書籍への取り組み

S&Sは、2000年にスティーブン・キングの電子書籍『ライディング・ザ・ブレット』を独占販売し、大きな話題となりました。2013年からは、電子書籍の公共図書館への貸し出し実験を開始するなど、電子書籍の普及にも積極的に取り組んでいます。

ペンギン・ランダムハウスによる買収計画

2020年11月には、ベルテルスマン傘下のペンギン・ランダムハウスによるS&Sの買収が発表されました。買収額は21億7,500万ドルとされ、ペンギン・ランダムハウスはS&Sの買収により、米国市場での地位をさらに強化する意図がありました。しかし、2022年10月31日、アメリカ連邦裁判所の判決によりこの買収は阻止されました。

出版ブランド

サイモン&シュスターは、以下の4つの主要な出版ブランドで構成されています。

Simon & Schuster Adult Publishing: 成人向け書籍を扱う出版社をまとめたブランド。Atria, Scribner, Free Pressなど、多数のインプリントを抱えています。
Simon & Schuster Children's Publishing: 子供向け書籍を扱う出版社をまとめたブランド。Aladdin, Atheneum, Little Simonなどがあります。
Simon & Schuster Audio: オーディオブック専門の出版社です。
Simon & Schuster International: オーストラリア、カナダ、イギリスの出版社をまとめたブランド。

まとめ

サイモン&シュスターは、創業から100年近くにわたり、常に時代を先取りした革新的な取り組みで、出版業界を牽引してきました。クロスワードパズル本から始まり、ペーパーバックの導入、電子書籍の販売、そしてオーディオブックまで、多様な出版形態に対応し、読者のニーズに応え続けています。これからも、サイモン&シュスターは、変化する出版業界の最前線で、新たな挑戦を続けていくでしょう。

参考項目

CBSコーポレーション
パラマウント・グローバル

外部リンク

* サイモン&シュスター公式サイト

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