ベルテルスマン

ベルテルスマン：メディア界の巨人

ベルテルスマン（Bertelsmann AG）は、ドイツに本社を置く、世界有数のメディアコングロマリットです。出版、放送、音楽ソフトなど、多岐にわたるメディア事業を展開しており、その影響力はグローバルに及んでいます。

主要な事業

ベルテルスマンは、以下の主要な事業グループを通じて、メディア業界に深く関わっています。

RTLグループ: ヨーロッパ最大の放送・番組制作会社であり、テレビやラジオの放送事業で大きなシェアを持っています。
グルナー・ヤール: ヨーロッパ最大の雑誌出版社として知られ、多種多様な雑誌を世界中で展開しています。
ペンギン・ランダムハウス: 世界最大の出版グループであり、文学、フィクション、ノンフィクションなど、幅広いジャンルの書籍を出版しています。2013年にランダムハウスがペンギン・ブックスと合併し、現在の形になりました。
arvato: メディアサービス、ロジスティクス（印刷、光ディスク製造、データセンターなど）を提供しており、日本にも支社があります。

これらの事業グループは、それぞれがメディア業界において重要な役割を果たしており、ベルテルスマンの巨大な企業規模を支えています。

歴史

ベルテルスマンの歴史は、1835年にカール・ベルテルスマンが出版社を設立したことから始まります。創業者のカールは、宗教や社会活動に熱心で、キリスト教の書籍や雑誌を出版しました。彼の息子であるハインリヒ・ベルテルスマンや婿のヨハネス・モーンは、その伝統を受け継ぎつつ、小説の出版も始め、会社を大きく成長させました。

第二次世界大戦後、1947年にラインハルト・モーンが会社を再建しました。1950年には、通信販売方式の「ベルテルスマン読書サークル」を立ち上げ、これが大成功を収め、数年後には会員数が100万人に達しました。1956年には、「レコードサークル」も設立し、音楽業界にも進出しました。アリオラ・レコードや製造会社ソノプレス（現在のArvato）を設立し、百科事典の販売でも成功を収めました。

1960年代から1970年代にかけて、読書サークルは国際化し、西ヨーロッパ、アメリカ合衆国、アフリカへと広がりました。また、雑誌や映画にも進出し、映画会社のウーファや出版社グルナー・ヤールを買収しました。

1980年代から1990年代にかけては、音楽・出版事業をアメリカへと拡大しました。バンタム・ブックス、ダブルデイ、ランダムハウスといった有力出版社や、アリスタ・レコード、RCA、ウィンダム・ヒル・レコードなどを買収し、BMG（ベルテルスマン・ミュージック・グループ）として統合しました。

さらに、テレビ業界やインターネットにも参入しました。ドイツでは1984年に民間のテレビ放送が始まったことを受け、映画会社のウーファを買収し、RTLplusを設立し成功を収めました。一方、インターネット分野では、AOLと提携してインターネット接続サービスを開始しましたが、オンライン書店のbol.comやNapsterへの出資は、あまり成功しませんでした。

2000年代に入ると、ソニーやピアソンと協力して、ソニーBMGやRTLグループを設立しました。その後、音楽事業を売却しました。

沿革

以下に、ベルテルスマンの主な沿革をまとめます。

1835年：カール・ベルテルスマンが印刷屋兼出版社として創業。
1958年：アリオラ・レコードを設立し、音楽事業に進出。
1969年：グルナー・ヤールの株主となる（1973年に過半数確保）。
1971年：株式会社に改組。
1977年：ベルテルスマン財団を設立。
1979年：アリスタ・レコードを買収。
1980年：バンタム・ブックスを買収。
1986年：RCAレコードを買収。
1986年：ダブルデイを買収。
1987年：音楽部門の統括会社としてBMGを設立。
1992年：ウィンダム・ヒル・レコードの株式の50%を取得（1996年に全数取得）。
1995年：AOLと提携し、ヨーロッパにおけるインターネット・サービス・プロバイダに進出（2000年に提携解消）。
1996年：大手電子地図メーカーのファルク（Falk AG）を買収。
1998年：ランダムハウスを買収。
2003年：ゾンバ・レコードを買収。
2004年：BMGのレコードレーベル事業をソニー・ミュージックと統合し、ソニーBMGを設立。
2006年：BMGミュージックパブリッシングを仏ヴィヴェンディ・ユニバーサルに売却。
2008年：ソニーBMGの全株式をソニーへ売却、一部の音楽出版関係の権利は売却せず、新会社BMGライツマネージメントが継承。
2013年：傘下の出版社ランダムハウスがペンギン・ブックスと合併し、ペンギン・ランダムハウスを設立。

パートナーシップ

ベルテルスマンは、ルパート・マードックのような独裁的な企業運営ではなく、労使協調のパートナーシップを重視しています。取締役会や監査役会の他に、経営協議会や従業員協議会を設け、分権的・権限委譲的な企業運営を行っています。

ベルテルスマン財団を設立し、創業家から株式を移すことで、資本所有の継続性を維持しています。また、従業員の利潤参加制度や資本参加制度を整備し、従業員からの資金調達や利益配分を行っています。このパートナーシップの重視が、ベルテルスマンの企業文化を特徴づけています。

ベルテルスマンは、メディア業界において大きな影響力を持つ企業であり、その事業展開は世界中で注目されています。今後も、その動向から目が離せません。

脚注

外部リンク

Bertelsmann AG

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