サカガウィア

サカガウィア：アメリカ西部探検を導いたショーショーニー族の女性

サカガウィア（Sacagawea、1788年頃 - 1812年12月20日）は、アメリカ合衆国建国において重要な役割を果たした、ショーショーニー族の女性です。1804年から1806年にかけて行われたルイスとクラーク探検隊に、わずか16歳で赤ん坊を背負いながら参加。その卓越した通訳能力と、インディアン社会への深い理解が、探検隊の成功に大きく貢献しました。現在では、1ドル硬貨の肖像にも採用されるなど、アメリカ建国神話の象徴的な人物として広く知られています。

困難な生い立ち

サカガウィアは、1788年頃に、現在のモンタナ州あたりに位置する平原のショーショーニー族のコミュニティで生まれました。幼少期、天然痘の流行により多くの部族民が命を落とす中、彼女は奇跡的に生き延びます。しかし、10歳から12歳頃、彼女の部族は敵対部族であるヒダーツァ族の襲撃を受け、捕虜として連れ去られてしまいます。その後、マンダン族に引き取られ、さらにフランス系カナダ人の毛皮商人、トゥーサン・シャルボノーと出会い、彼の妻となります。

ルイスとクラーク探検隊への参加

1804年、トーマス・ジェファーソン大統領の命を受け、メリウェザー・ルイスとウィリアム・クラーク率いる探検隊が、アメリカ西部の未開拓地を探検するためセントルイスを出発しました。10月下旬、マンダン族の居住地であるマンダン砦で越冬することになり、そこでルイスとクラークはサカガウィアと出会います。

彼女のショーショーニー語の通訳能力と、西部の地理に精通していることを知ったルイスとクラークは、サカガウィアと夫シャルボノーを、探検隊の通訳兼ガイドとして雇い入れることを決断します。1805年2月11日、マンダン砦でサカガウィアは男児、ジャン・バティスト・シャルボノーを出産。出産後間もなく、彼女は赤ん坊を背負いながら、過酷な旅路へと再び踏み出します。

西部への探検とショーショーニー族との再会

探検隊はミズーリ川を遡り、ロッキー山脈を越え、さらに西へと進みます。サカガウィアの通訳能力は、様々な部族との交渉において不可欠であり、幾度となく危機を回避することに貢献しました。特に、ロッキー山脈を越える際に必要な馬の確保において、彼女の存在は大きかったと言われています。サカガウィアは自身の出身部族であるショーショーニー族との接触を成功させ、彼らとの友好関係を築くことにより、探検隊は貴重な援助を得ることができました。

1805年8月17日、サカガウィアは、ヒダーツァ族に捕まった後に逃亡した少女と再会。そして、ショーショーニー族の酋長コーメアワイトと感動的な再会を果たします。コーメアワイトはサカガウィアの兄であり、サカガウィアは彼との再会に深い喜びを感じ、探検隊はショーショーニー族から、荷馬と案内役を提供されました。

探検の成功とその後

サカガウィアは探検隊と共に太平洋に到達。その後、25歳で亡くなったとされていますが、その後の生涯については不明な点も多く残されています。しかし、彼女の貢献は、ルイスとクラーク探検隊の成功に不可欠なものであったことは間違いありません。

サカガウィアの記憶

サカガウィアは、アメリカ西部の開拓に貢献した重要な人物として、現在も広く記憶されています。1999年には、1ドル硬貨の肖像として採用され、ノースダコタ州とオレゴン州には彼女の銅像が建立されています。また、彼女の功績を称え、アメリカ海軍の貨物弾薬補給艦に「サカガウィア」と命名された艦船も存在します。彼女の波乱に満ちた生涯と、アメリカ史における重要な役割は、人々に深い感銘を与え続けています。

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