サカシチ・アールパード

サカシチ・アールパード：ハンガリーの政治家

サカシチ・アールパード（ハンガリー語: Szakasits Árpád, 1888年12月6日 – 1965年5月3日）は、ハンガリーの政治家であり、大統領、大統領評議会議長を歴任しました。彼の生涯は、20世紀前半のハンガリーの激動の歴史と深く結びついています。

生い立ちと初期の活動

1888年、サカシチはオーストリア＝ハンガリー帝国の首都ブダペストで生まれました。10代の頃から労働運動に身を投じ、ハンガリー社会民主党に入党。早くから社会主義思想に共鳴し、政治活動に参加しました。ハンガリー評議会共和国（1919年）では人民委員を務めましたが、短命に終わりました。王政復古後もハンガリーに留まり、全国建設労組の委員長などを歴任し、労働者の権利擁護に尽力しました。

戦後の政治的役割

第二次世界大戦後、サカシチは社民党の主導権を掌握し、ハンガリー共産党との合同を積極的に推進しました。この合同は、ハンガリー勤労者党の結党（1948年）に繋がり、ハンガリーにおける社会主義体制の確立に大きな役割を果たしました。1948年8月2日には、ハンガリー第二共和国の大統領に就任しました。

ハンガリー人民共和国の成立と失脚

1949年8月23日、ハンガリーは人民共和国へと体制を移行しました。これに伴い、サカシチは国民議会幹部会議長（国家元首）に就任しました。しかし、1950年4月26日に突如解任され、投獄されるという不遇をかこちました。これは、ラーコシ・マーチャーシュ率いる共産党政権による粛清の一環であったと考えられています。

名誉回復と晩年

1956年、サカシチは釈放され、名誉を回復しました。ハンガリー動乱（1956年）を経て、ジャーナリスト協会会長などを務め、社会への貢献を続けました。彼は1965年5月3日に亡くなりました。

エスペラント運動への貢献

サカシチは40年来のエスペランティストであり、エスペラント運動に熱心に参加しました。エスペラント大会にも参加し、国際的な交流を深めました。1959年の世界エスペラント大会では、国際後援者委員会の委員を務めました。彼の活動は、エスペラント運動の推進に大きく貢献しました。

サカシチ・アールパードは、ハンガリーの激動の時代を生き抜き、政治家として、またエスペランティストとして、多岐にわたる活動を展開しました。彼の生涯は、ハンガリー現代史における重要な一章として記憶されています。

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