ラーコシ・マーチャーシュ

ラーコシ・マーチャーシュ：ハンガリー共産主義の指導者

ラーコシ・マーチャーシュ（1892年3月14日 - 1971年2月5日）は、20世紀のハンガリーにおいて、共産主義政権を主導した政治家です。ハンガリー共産党書記長、ハンガリー勤労者党第一書記、そしてハンガリー人民共和国首相という要職を歴任し、ハンガリーの政治、経済、社会に深い爪痕を残しました。

生涯

ラーコシは、現在のセルビアにあたるアダ市で、ユダヤ人の家庭に生まれました。第一次世界大戦ではオーストリア＝ハンガリー軍に従軍し、東部戦線で捕虜となります。その後、ハンガリー評議会共和国に参加しますが、政権崩壊後ソ連へ亡命。1924年にハンガリーへ帰国した際に逮捕されますが、革命旗との交換条件で釈放され、再びソ連へ。コミンテルンの指導者として活動後、赤軍と共にハンガリーへ帰国しました。

共産党政権の確立

1945年、ラーコシはハンガリー共産党の書記長に選出され、左翼連立政権内で影響力を拡大。1948年には社会民主党を吸収合併し、ハンガリー勤労者党を創設。これにより、ハンガリーは共産党一党独裁体制へと移行します。

スターリン主義と恐怖政治

ラーコシは自らを「スターリンの最も優秀なハンガリーの弟子」と称し、スターリン主義を信奉しました。対抗勢力を徐々に排除する「サラミ戦術」を駆使し、権力を掌握。ハンガリー国内で徹底的な恐怖政治を展開しました。政敵の粛清、秘密警察による国民の監視などを行い、ハンガリー社会を抑圧しました。

権力の失墜と晩年

1952年、首相を兼任しますが、1953年にはソ連の意向によりナジ・イムレに首相の座を譲ります。その後も第一書記の職に留まりますが、1956年のフルシチョフによるスターリン批判後、党第一書記を辞任。ハンガリーを離れ、ソ連へ亡命しました。晩年はキルギスで過ごし、1971年にゴーリキーで死去。遺体はハンガリーへ返還され、ブダペストに埋葬されました。

ラーコシ・マーチャーシュは、ハンガリーの共産主義時代を象徴する人物であり、その政治手法は現在でも議論の対象となっています。

ラーコシ・マーチャーシュを扱った作品

ドキュメンタリー『社会主義の20世紀』プロローグ「大いなる実験」（二部構成）第二部（1990年、NHK）
小説『グラーグ57』（作：トム・ロブ・スミス）

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