サキガケ⇒ジェネレーション!

『サキガケ⇒ジェネレーション!』

クロシェットから2014年5月30日にリリースされた、18歳以上を対象とした恋愛アドベンチャーゲームです。現実世界と仮想の体感ゲームを行き来しながら展開する、ゲーム好きの少年少女たちの学園生活と冒険を描いたラブコメディーであり、その高い評価から萌えゲーアワード2014で金賞およびエロス系作品賞PINKを受賞しています。

物語の始まり

物語の主人公、海棠秀穂は、ゲームをこよなく愛する初土学園の2年生。彼は趣味を共有する仲間たちと共にエンターテインメント研究会を立ち上げ、日々ゲームに興じていました。そんな平穏な日常は、学園に転校してきた少女、雪之宮杏音との出会いによって一変します。杏音が持ち込んだ試作品のゲーム、『Wizard Generation』。それは、まるで現実そのもののようにリアルな体感型ゲームでした。秀穂たちはその未知なるゲームの世界に没頭していきますが、ゲームが進むにつれて、現実世界でも様々な予期せぬ出来事が発生し始めます。

舞台となる場所

物語の主な舞台となるのは、初土美那浜町とその中に位置する初土学園です。かつては観光で賑わったという初土美那浜町ですが、今はどこか寂れた風情のある田舎町となっています。学園は町北東の丘の上にあり、一度は生徒数減少で休校状態に陥ったものの、紅藤瑠偉氏が理事長に就任して再開されました。町北にある初土湖は、ナウマン象の化石が出土したことで知られる場所で、美しい景色とは裏腹に湖畔の施設も不景気の影響を受けています。このノスタルジックな環境が、現実世界の日常を彩ります。

仮想世界『Wizard Generation』

物語の鍵となる『Wizard Generation』は、杏音の姉である雪之宮菖蒲らが開発に携わった試作体感ゲームです。オーソドックスな剣と魔法の世界観を持つアクションRPGで、プレイヤーは「スクリーンネーム」と呼ばれる別名で活動します。Knight、Paladin、Hunter、Magician、Bishop、Fighterといった基本的な6クラスに加え、複合クラスや多種多様なスキル、呪文が存在し、奥深い冒険を楽しむことができます。驚くほどリアルな体感は、プレイヤーをすぐにその世界の虜にさせますが、このゲームは単なる娯楽ツールではないようです。J.D.という人物がマスターを務め、世界中で魔力に目覚める人々を増やすことを目的として開発されたという秘密が隠されています。

個性豊かなキャラクターたち

本作には、ゲームと現実、そして魔力が複雑に絡み合う物語を彩る個性的なキャラクターたちが登場します。

海棠 秀穂: 主人公。頭脳明晰ながらもカッコ良さを重んじるゲーマー。エンタメ研の創設者であり、オンラインゲームでは慎重なプレイスタイルを好む。ゲーム内では騎士「Begonia」として活躍します。
雪之宮 杏音: 転入生で重度のゲーマー。優等生に見えるが実は抜けている一面も。姉の指示で『Wizard Generation』を持ち込み、ゲームのきっかけを作ります。ゲーム内では聖戦士「Anonym」ですが、見た目重視の武器選びで序盤は苦労します。
星咲 桜花: 秀穂のクラス委員長。真面目な性格ですが、杏音との交流やゲームを通して新たな楽しさを見出していきます。高い魔力の素質を持ち、ゲーム内では超能力者「Cerasus」としてプレイします。
敷島 なつめ: 秀穂と璃々子の幼なじみで、学園の先輩。伝説的なゲーマーとしての顔を持ち、勉強もできる優等生。ゲーム内では狩人「YamatoHime」として、探索や罠を駆使します。
紅藤 友梨亜: 学園の後輩で、本物の魔法使い一家の娘。ゲームを魔法によるものと疑い、また高い魔力を持つ璃々子を警戒しています。ゲーム内では魔法使い「JuliaDR」として、猫耳フードの姿で成長していきます。
海棠 璃々子: 秀穂の妹で友梨亜の親友。中二病をこじらせ、怪しげな儀式を行いますが、本人は無自覚ながら非常に高い魔力を持っています。ゲーム内では司教「Lilith」として、魔女のような服装と自作の呪文で周囲を驚かせます。

この他にも、筋肉バカのクラスメイト・綿貫敦盛（ゲーム内：Fighter「WataAtsu」）や、なつめの親友でネカフェオーナーの娘・水上桐葉、杏音の姉でゲーム開発者の雪之宮菖蒲、友梨亜の父で理事長でもある本物の魔法使い・紅藤瑠偉など、物語を賑わせるキャラクターが多数登場します。特に、璃々子役を演じた秋野花氏は、本作への出演がその後の「妹役」のオファー増加に繋がったと振り返っており、キャラクターの魅力が声優のキャリアにも影響を与えたエピソードとして語られています。

制作の舞台裏

本作の企画は、ブランドの前々作『カミカゼ☆エクスプローラー!』の制作終了後すぐにスタートしました。原画・キャラクターデザインを担当した御敷仁氏にとって、ネットゲームやファンタジー世界を描くのは初めての経験であり、世界観の構築には多くの挑戦と苦労があったと語っています。しかし、企画・シナリオの姫ノ木あく氏は、既存のファンタジーにとらわれない御敷氏のデザインに新鮮な喜びを感じたそうです。『Wizard Generation』の世界観は、姫ノ木氏が以前制作したオリジナルTRPGがベースとなっており、クリエイターの情熱と経験が注ぎ込まれています。

音楽

物語を盛り上げる楽曲として、AiRIが歌うオープニングテーマ「MEMORIA」とエンディングテーマ「きみとふたりで」、そして千歳サラが歌うもう一つのエンディングテーマ「Cherish」が収録されています。これらの楽曲を収めたオリジナルサウンドトラックも後に発売されています。

関連情報

本作はクロシェットの公式サイトにて情報が公開されており、年齢確認を経て閲覧可能です。また、本作の楽曲を収録したオリジナルサウンドトラックが2015年3月27日に発売されています。

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