サグネ (ケベック州)

サグネ市

サグネ（正式名称：Ville de Saguenay）は、カナダ、ケベック州の中央部に位置するサグネ・ラック・サン・ジャン地域の主要都市です。州都ケベック・シティから北におよそ200km離れた、広大なサグネ川の流域に街が発展しています。2016年の統計によると、市の人口は約14万6千人、周辺を含む都市圏の人口は約16万1千人で、ケベック州内ではモントリオール、ケベック・シティなどに次ぐ5番目の都市圏規模を擁しています。

歴史と発展

サグネ地域の歴史は、1676年にフランス人によって現在のシクティミ地区が発見・開拓されたことに始まります。当時、この地は毛皮貿易の重要な拠点として栄えました。その後、1893年にカナディアン・ナショナル鉄道が開通したことを機に、地域の産業は大きく発展しました。特に、豊富な水資源を利用した水力発電を基盤とするアルミニウム産業や製紙業が市の経済を牽引しました。

近代において、サグネ市は2002年に誕生した比較的若い都市です。それまで独立した自治体であったシクティミ、ジョンキエール、ラ・ベの三つの都市が合併し、一つの新しい市として再出発しました。市の名称は、その歴史と地理的な重要性からサグネ川に由来しています。

都市の構成

合併により成立したサグネ市は、かつての独立都市であった三つの主要な地区から成り立っています。

シクティミ（Chicoutimi）: 市の中心的な機能を担う地域で、最も人口が多く、約6万6千人が暮らしています。
ジョンキエール（Jonquière）: 鉄道駅が所在する地区で、人口は約5万4千人です。この地は、国際的に知られるヘヴィメタルバンド、ヴォイヴォドの出身地としても知られています。
ラ・ベ（La Baie）: サグネ川の湾奥に位置する地区で、人口は約2万人です。

地理

サグネ市は、広大なサンジャン湖からセントローレンス川へと注ぐサグネ川の下流域に位置しています。カナダを覆う広大なカナダ楯状地の中にあり、周囲よりも標高が低い凹地にあたるため、比較的気候が穏やかであることも、この地に都市が発展した一因とされています。

人口動態

2016年の国勢調査によると、サグネ市の人口は約14万6千人です。住民の母語については、約98.9%がフランス語を話しており、ほぼ完全なフランス語モノリンガルの都市と言えます。人種構成では白人が大半を占めますが、先住民が約6.1%を占めており、ケベック州の他の都市と比較して先住民の割合が高い特徴があります。これ以外の有色人種や移民のコミュニティは非常に小規模です。民族的な出自について、住民の約79.4%が自らをケベック人と認識しており、次いでフランス人が約23.2%となっています。

気候

内陸部に位置するサグネは、大陸性気候の影響を強く受け、年間を通じて寒暖差が大きいのが特徴です。冬季は非常に厳しく、1月の平均気温は-15.7℃まで下がります。年間を通して-20℃以下になる日が約47日、-30℃以下になる日も約7日あり、年間降雪量は336cmと多雪地帯です。過去には1916年2月5日に-45.0℃という記録的な最低気温を観測しています。一方、夏季は比較的温暖で、7月の平均気温は18.4℃です。過去の最高気温は、1935年8月18日に記録された39.4℃です。

交通

市内の主要な交通手段として、鉄道、空港、市内バスがあります。

ジョンキエール駅: VIA鉄道のジョンキエール号の終着駅として、モントリオール中央駅との間を週3便で結んでいます。
サグネ・バゴヴィル空港: 軍民共用の空港として機能しています。
STS: サグネ市交通局（Société de transport du Saguenay）が市内バス路線を運行しています。

教育

サグネ市には、いくつかの主要な高等教育機関があります。

ケベック大学シクティミ校（Université du Québec à Chicoutimi - UQAC）
ケベック音楽院シクティミ校（Conservatoire de musique de Saguenay）
セジェップシクティミ（Cégep de Chicoutimi）
セジェップジョンキエール（Cégep de Jonquière）

これらの教育機関は、地域の学術・文化・技術教育の中心となっています。

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