サケガシラ

サケガシラ（裂頭）

基本情報

サケガシラ（学名: Trachipterus ishikawae）は、条鰭綱のアカマンボウ目に分類されるフリソデウオ科の魚です。この魚は大きな体を持ち、特に日本の近海に広く分布しています。

生息地

サケガシラは、北海道から沖縄県にかけての日本近海に生息しています。主に太平洋や日本海の沖合中層域、深さ200～500メートルにいることが多く、底からは少し浮いた状態で生活しています。また、台風や荒天の影響で、稀に沿岸に漂着することもあります。そのため、地域によっては「地震魚」として知られることもありますが、富山湾では他の魚種を追って網にかかることが多いため、必ずしも珍しい存在ではありません。隠岐の西郷湾でも、地元の漁業高校の学生が年に一度は釣り上げています。秋にはサケを引き寄せる縁起の良い魚として見なされることもあります。

形態的特徴

サケガシラは、体型が細長く、大型の魚であり、体長が2メートルを超えることもあります。体の色は銀白色で、背びれは鮮やかな朱色です。成魚になると体が横に扁平し、大きな目が特徴です。頭部には長い下向きの口があり、尾びれは小さめです。また、腹部には多くの小さな棘状の鱗が並んでいます。サケガシラは浮き袋を持たず、そのままでは沈んでしまいますが、背びれを使って立ち泳ぎすることで水中に留まることが可能です。

生態

サケガシラの生態はまだ明確には解明されていませんが、深海数百メートルの中層を漂いながら、プランクトンや小魚、イカなどを食べていると考えられています。2013年に捕獲された個体からは、胃袋に多くのイカのクチバシが見つかりました。しかし、アカマンボウ目の魚類の中では、幼魚の発見が遅れており、初めて見つかったのは2014年の富山湾でした。稚魚や卵に関する情報はまだ得られていません。

他種との違い

サケガシラと近縁種であるテンガイハタは、体型が似ていますが、テンガイハタの頭部が滑らかであるのに対し、サケガシラには陥没したように見える溝があります。このため、見た目の特徴から「裂頭」と呼ばれたり、サケのように川を上るイメージから「鮭頭」という名称がつけられたと考えられています。また、テンガイハタが食用として漁獲されることがある一方で、サケガシラは肉質が水っぽく、生臭いため、食用には向きません。ただ、干物や煮つけにすると旨味が引き出されるとの報告もあります。

捕食者と生活環境

サケガシラは、遊泳力があまりないために、ダルマザメの餌食になりやすく、その肉質もマッコウクジラの食料となることがあります。深海魚でありながら脆弱な体を持つため、自然界では他の生物からの脅威にさらされることの多い魚です。

この魚についての詳細な研究はまだ進行中であり、その生態や生活習慣に関する情報は今後の研究によってさらに明らかになることでしょう。

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