サジラン属

サジラン属 (Loxogramme)

サジラン属は、ウラボシ科に属するシダ植物のグループです。この属の植物は、着生植物として生育し、その特徴的な形態と分布域を持っています。

特徴

サジラン属の植物は、以下のような特徴を持っています。

生育場所: 着生する草本であり、他の植物や岩などに根を張り付かせて成長します。
根茎: 根茎は地表を這うように伸び、表面には格子状の鱗片が見られます。これらの鱗片は根茎の基部から生えています。
葉: 葉には、胞子葉（胞子を形成する葉）と栄養葉（光合成を行う葉）の区別がある場合とない場合があります。葉柄と根茎の間には関節が無く、脱落することはありません。葉身は単葉で、縁は滑らかです。葉脈は網状で、遊離小脈を持つものと持たないものがあります。
胞子嚢群: 胞子嚢群は通常、線形で、葉身の中肋に対して斜めに並びます。中肋の両側に1列に配置されますが、円形や楕円形の胞子嚢群を持つ種も存在します。胞子を放出する器官は、シダ植物の特徴である胞子嚢群としてまとまって形成されます。
配偶体: 配偶体、つまり前葉体は、不定形またはリボン状をしています。

種と分布

サジラン属は、アジアを中心に、太平洋地域、アフリカ、中南米にかけて広く分布しており、約30種が知られています。日本国内では、以下の種が確認されています。

ムニンサジラン (Loxogramme boninensis)
サジラン (Loxogramme duclouxii)
ヒメサジラン (Loxogramme grammitoides)
イワヤナギシダ (Loxogramme salicifolia)

分類

サジラン属は、ウラボシ科の中でサジラン亜科 (Loxogrammoideae) に分類されます。この亜科には、サジラン属とディクティミア属 (Dictymia) の2つの属が含まれています。ディクティミア属は南太平洋に固有の属です。

サジラン属は、根茎と葉身の間に関節がないという特徴から、かつては独立した科として扱われたこともありました。しかし、現在の分類ではウラボシ科の亜科として位置づけられています。サジラン亜科は、ウラボシ科の系統の中で最も基底から分岐したグループであると考えられています。

また、かつてニュージーランド固有の単形属とされていたアナルトプテリス属 (Anarthopteris) は、現在ではサジラン属に含められています。

参考文献

海老原淳、『日本産シダ植物標準図鑑 II』、(2017)、株式会社学研プラス

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