サセックス公爵と公爵夫人の英国王室離脱

メグジット

「メグジット（Megxit）」とは、2020年に公表されたサセックス公爵ヘンリー王子とサセックス公爵夫人メーガンによる英国王室の「シニア」メンバーからの離脱を指す通称です。この言葉は、公爵夫人の名「Meghan」と「exit」（退出）を組み合わせた造語で、同時期の英国のEU離脱問題「Brexit」になぞらえて生まれました。インターネット上の匿名ユーザーが使い始めましたが、やがて主要メディアも採用し、例えばニューヨーク・タイムズ紙はこれを「世代と政治を分裂させる新たなブレグジット」と評しました。

出来事の発端と背景

この出来事は、2020年1月8日に公爵夫妻がインスタグラムで、英国と北米で暮らしながら財政的自立を目指すために王室での公的な役割から退く意向を表明したことから始まりました。この発表は王室にとって予期せぬものであり、バッキンガム宮殿は直ちに協議中であるとの声明を出しました。夫妻は王室と数ヶ月間話し合いを続けていたとされますが、ワシントン・ポスト紙は、発表が情報漏洩への懸念から急がれた可能性を指摘しています。

夫妻が離脱を決めた背景には、彼らが望む独立した生活様式に加え、チャールズ皇太子（当時）が進める王室のスリム化構想や、一部メディアからの継続的な批判、メーガン妃に対する人種差別的な扱いに直面したことなど、複数の要因があったと考えられています。ヘンリー王子は後に、この決断が「他に方法がなかった」結果だと述べています。

王室の対応と最終合意

突然の発表を受け、エリザベス女王は1月13日に異例の緊急会合を招集しました。この会合を経て、1月18日には最終的な合意内容が公表されました。これにより、夫妻は王室の公的メンバーとしての役割を終え、「殿下」の称号を使用しないことが決定しました。これは過去の王室メンバー（例：ダイアナ妃、ヨーク公爵夫人セーラ）とは異なる厳しい措置であり、「ハード・メグジット」と呼ばれています。女王のこの騒動への対応は、広く称賛を受けました。

影響と波紋

この合意により、サセックス公爵夫妻は英国王室の慣例から正式に離れ、自立した活動を目指すこととなりました。当初は「Sussex Royal」の商標下での活動を計画していましたが、この一連の出来事や計画は、特にメーガン妃が主導したという憶測や否定的な見方を招きました。「メグジット」という通称自体も、公爵夫人を批判する意図で生まれた側面があります。ヘンリー王子は離脱後のスピーチでメディアの「強力な力」に言及し、王室担当記者からは、これは「メーガン妃が全ての原因ではない」という見方を促す意図があったと分析されています。

もう一度検索