サタナイン

ティアーズ・フォー・フィアーズが1996年にリリースしたアルバム『サタナイン』（原題：Saturnine Martial & Lunatic）は、その名の通り、彼らの音楽的な奥深さを探求できる作品です。このアルバムは、シングルB面曲やアルバム未収録曲といった、いわゆるレア・トラックを集めたもので、通常のアルバムとは一線を画す、特別な魅力を持っています。

『サタナイン』は、『キングス・オブ・スペイン』のワールドツアー終了後に発表されました。収録されている楽曲は、1983年から1993年までの10年間に制作されたものの、アルバムには収録されなかった楽曲が中心です。レコード会社の移籍の関係から、『キングス・オブ・スペイン』の時期に制作された楽曲は含まれておらず、マーキュリー／フォノグラム時代に制作された楽曲に特化しているのが特徴です。

このアルバムには、実験的なインストゥルメンタル・ナンバーや、ロバート・ワイアット、デヴィッド・ボウイといった著名なミュージシャンのカバー曲も収録されています。これらの楽曲を通して、ティアーズ・フォー・フィアーズの音楽性の幅広さや、彼らが持つ独特な音楽的嗜好が浮き彫りになっています。単なるB面集という枠を超え、彼らの音楽的な冒険心や多様性を感じ取ることができるでしょう。

収録曲の多くはシングル曲のカップリングとして発表されたものですが、「ジョニー・パニック」はジョニー・パニック・アンド・ザ・バイブル・オブ・ドリームズ名義で発表されたバージョン、「アッシュズ・トゥ・アッシュズ」はチャリティ・アルバム『Ruby Trax』への提供曲、「ザ・ウェイ・ユー・アー」は本作で唯一シングルとして発表された楽曲です。

また、アルバムのカバー・デザインは、ローランド・オーザバル自身が手掛けています。アートワークからも、このアルバムに対する彼の特別な思い入れが伝わってくるようです。

収録曲は以下の通りです。

1. ジョニー・パニック - "Johnny Panic and the Bible of Dreams"
2. ザ・ビッグ・チェアー - "The Big Chair"
3. シュロディンガーズ・キャット - "Schrödinger's Cat"
4. マイ・ライフ・イン・ザ・スーサイド・ランクス - "My Life in the Suicide Ranks"
5. ラヴ・ウィズ・ア・ブラインド・マン - "When in Love With a Blind Man"
6. ファラオズ - "Pharaohs"
7. デジャ・ヴ - "Déjà-Vu & The Sins of Science"
8. マローダーズ - "The Marauders"
9. ティアーズ・ロール・ダウン - "Tears Roll Down"
10. ニュー・スター - "New Star"
11. ボディ・ワウ - "The Body Wah"
12. ロード・オブ・カーマ - "Lord of Karma"
13. ブラッドレッティング・ゴー - "Bloodletting Go"
14. オールウェイズ・イン・ザ・パスト - "Always in the Past"
15. シー・ソング - "Sea Song"
16. アッシュズ・トゥ・アッシュズ - "Ashes to Ashes"
17. エンパイア・ビルディング - "Empire Building"
18. ザ・ウェイ・ユー・アー - "The Way You Are"

『サタナイン』は、ティアーズ・フォー・フィアーズのファンはもちろん、彼らの音楽を深く知りたいという方にとっても、貴重な一枚となるでしょう。

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