サターンIB

サターンIBロケット：アポロ計画を支えた中型ロケット

サターンIB（サターン・ワン・ビー）は、アメリカ合衆国のアポロ計画において重要な役割を果たした中型ロケットです。サターンIロケットの改良型として開発され、より強力な第二段S-IVBを搭載したことで、アポロ宇宙船を地球周回軌道に投入する能力を獲得しました。これにより、当時開発中だった大型ロケットサターンVの完成を待つことなく、アポロ計画を大きく前進させることに貢献しました。

サターンIBは、アポロ計画の初期段階における宇宙船のテスト飛行や、スカイラブ計画、アポロ・ソユーズテスト計画など、様々なミッションで使用されました。特に、スカイラブ計画では、宇宙ステーションの打ち上げとクルーの輸送を担うなど、その信頼性と汎用性の高さを示しました。

特徴と構造

サターンIBは、第一段S-IBと第二段S-IVBから構成されています。それぞれの特徴と構造は以下の通りです。

第一段 (S-IB)

S-IBは、地球周回軌道への投入を目的としたロケット段で、9基の燃料タンク、8枚の翼、推力支持装置、そして8基のH-1ロケットエンジンを搭載しています。

燃料タンク: 中央の液体酸素タンクの周囲を、8本のレッドストーンロケット用タンクが取り囲む構造です。周囲のタンクのうち4本には液体酸素が、残りの4本にはケロシンが注入されます。
エンジン: 8基のH-1エンジンが搭載されており、中央の4基は固定、周囲の4基には方向制御のためのジンバル機構が備えられています。

第一段のデータ:
全高: 25.5m
直径: 6.6m
エンジン: H-1ロケット8基
推力: 928.65トン (9.1MN)
燃料: ケロシン155m3
酸化剤: 液体酸素250m3
燃焼時間: 2.5分
到達高度: 68km

第二段 (S-IVB)

S-IVBは、サターンVの第三段と基本的に同じ構造を持っています。ただし、第一段との接続リングや補助動力装置が追加されている点、そして軌道上での再点火機能がない点が異なります。エンジンはジンバル機能を持つJ-2ロケットが1基搭載されています。

燃料タンク: 液体酸素と液体水素のタンクは、1枚の隔壁で仕切られています。この構造により、大幅な軽量化と全長短縮を実現しました。

第二段のデータ:
全高: 17.8m
直径: 6.6m
エンジン: J-2ロケット1基
推力: 90.6トン (890kN)
燃料: 液体水素242m3
酸化剤: 液体酸素76m3
燃焼時間: 約7分
到達高度: 地球周回軌道

その他の特徴

燃料タンクの塗り分け: サターンIBの初期の飛行では、第一段燃料タンクに白と黒の塗り分けが施されていましたが、スカイラブ計画を含む最後の4回の飛行では、この塗り分けは見られなくなりました。

サターンIBの主な使用ミッション

アポロ計画：アポロ宇宙船のテスト飛行、無人飛行、有人飛行
スカイラブ計画：宇宙ステーションの打ち上げ、クルーの輸送
アポロ・ソユーズテスト計画：国際共同ミッション

サターンIBは、アポロ計画の成功に不可欠なロケットであり、その技術は後の宇宙開発にも大きな影響を与えました。

参考文献

Apollo Maniacs（アポロ・マニアックス）
https://www.apollo-maniacs.com/

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