サッチャー (DD-514)

USS Thatcherについて

USS Thatcher (DD-514)は、アメリカ海軍のフレッチャー級駆逐艦であり、ヘンリー・サッチャー少将にちなんで命名された艦船です。これは同名の艦としては2隻目のもので、1942年6月20日にメイン州バス地区の造船所で起工され、1943年2月10日に艦隊に加わりました。

1943年の任務

「サッチャー」はカスコ湾で試運転を行った後、護衛空母「カサブランカ」の護送船団に参加し、1943年4月29日にニューヨークを出発、そして5月31日に戻りました。6月11日、太平洋任務のために東海岸を離れ、7月31日に真珠湾に到着しました。8月にはチャールズ・A・パウナル少将の指揮する第50任務部隊に加わり、マーカス島への空襲を行いました。

その後、ニューヘブリデスに進軍し、ガダルカナル間で護衛任務を遂行しました。10月にはブーゲンビル島への上陸支援活動に参加し、11月2日には日本艦隊との接触があり、ブーゲンビル島沖の海戦が発生しました。この戦闘では、艦隊は日本の艦艇に攻撃を仕掛けるものの、全ての魚雷は回避されました。その後の混戦中、「サッチャー」は「スペンス」と衝突し損傷を受けましたが、最終的には大きな損害を被ることはありませんでした。

1944年の再訓練と作戦

1944年には、メア・アイランド海軍造船所で詳細な修理が行われ、再訓練を経て3月には再び第39任務部隊に加わりました。エミラウ島への上陸支援やカロリン諸島への航空攻撃に参加し、ホーランジア、ワクデ島に対しても爆撃を行いました。特に5月26日には、誤射による負傷者を出しつつも作戦を続けました。

沖縄戦と最期

沖縄戦の際、「サッチャー」は慶良間諸島近くで、日本軍の航空機を迎撃する任務を担っていました。しかし、特攻隊による激しい攻撃を受け、船体に深刻な損傷が生じ、行動不能となりました。この攻撃で14名が死亡または行方不明となり、多くの乗員が負傷しました。

終戦を迎えた「サッチャー」は、1945年11月23日に退役し、その後12月5日に軍艦籍から除外されました。1948年にはカリフォルニア州オークランドの造船所にてスクラップとして売却されました。サッチャーはその戦歴により、第二次世界大戦中に12個の従軍星章を受章しました。

「サッチャー」の歴史は、アメリカ海軍の駆逐艦としての役割と戦闘での重要性を象徴しており、その功績は今も忘れられることはありません。海軍の各種キャンペーンに貢献したこの艦は、技術的な進歩と戦略的な任務の成功を表すものでもあります。

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