サニタリーボックス

サニタリーボックスとは

サニタリーボックスとは、主として女性用トイレの個室内に設置されている小型のごみ箱のことです。汚物入れという名称も広く用いられています。

概要

サニタリーボックスは、使用済みの生理用品（おりものシート、生理用ナプキン、タンポンなど）を捨てるために設置されています。これらの生理用品は水に溶けにくいため、トイレに流すと配管詰まりの原因となります。そのため、サニタリーボックスが必要とされます。

一般的に、サニタリーボックスは女性用トイレや男女兼用トイレに設置されることが多いですが、男性用トイレへの設置は一般的ではありません。しかし、近年ではおむつや尿漏れパッドを使用する男性からの要望もあり、男性用トイレへの設置を検討する動きも出てきています。

共同トイレや集合トイレなど、利用者の多い場所では、こまめな清掃が必要です。放置すると虫が発生したり、悪臭の原因となることがあります。また、個室の限られたスペースに合わせて、目立たないように小型化されているものが多いです。

使用済み生理用品の処理方法としては、中身が見えないように黒いポリ袋に入れ、可燃ごみとして処分するのが一般的です。しかし、一部の自治体では黒いポリ袋の使用が禁止されているため、対応に苦慮するケースも見られます。

最近では、手をかざすだけで蓋が自動開閉するセンサー付きのサニタリーボックスや、使用済み生理用品を自動で圧縮・密封する機能を持つ製品も開発されています。

事件：テロ対策による撤去問題

2019年に大阪で開催されたG20サミットの際、テロ対策強化の一環として、駅構内のコインロッカーやゴミ箱が一時的に使用停止となりました。この措置は、女子トイレ内のサニタリーボックスにも及び、社会的な議論を呼びました。

JR各社（西日本旅客鉄道、東日本旅客鉄道）や東京地下鉄はサニタリーボックスを撤去対象としていませんでしたが、東京都交通局や西武鉄道は国土交通省と連携したテロ対策の一環として、主要駅のサニタリーボックスを撤去しました。

この状況に対し、イギリス人ジャーナリストが西武池袋線池袋駅構内の女子トイレで、サニタリーボックスが撤去されたために使用済み生理用品が並べられている状況を写真付きでSNSに投稿し、批判的なコメントを発信しました。彼女は、サニタリーボックス撤去の決定に女性の視点が欠けているのではないかと指摘し、「女性の人権が急になくなったと思った」と訴えました。

批判を受けて、西武鉄道はサミット開催中の6月28日に、東京都交通局も翌日からサニタリーボックスを再設置しました。

国土交通省鉄道局総務課は、「サニタリーボックスかどうかは関係なく、『ゴミ箱』として通知していた」と説明しましたが、「今までの警備態勢で問題になったことがなく、今回は反響が大きかったため、鉄道会社とも対応を協議した」と回答しました。公共政策委員会のセンター長は「セキュリティは男性の視点で考えられていたため、女性の視点が欠けていたかもしれない」と分析しています。

鉄道会社の責任者やセキュリティの専門家が、サニタリーボックスの撤去に対する反発を想定していなかったため、「使用後の生理用品をどうすれば良いのか」という代替案が用意されていなかったことも問題点として挙げられました。

関連項目

ナプキン (生理用)
おりものシート
* タンポン

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