ナプキン (生理用)

ナプキンとは

ナプキンは、主に月経時の経血を吸収するために用いられる生理処理用品です。日本では、食事の際に使用するテーブルナプキンと名称が重複することがありますが、欧米では経血処理用のナプキンを「Sanitary towel」や「period pad」と呼び区別しています。この記事では、生理用ナプキンに焦点を当てて解説します。

ナプキンの歴史

日本では、1960年代まで脱脂綿や古布を代用していましたが、1961年にアンネ社が初の使い捨てナプキン「アンネナプキン」を発売しました。アメリカのキンバリー・クラークが紙ナプキン「コーテックス」を発売してから40年後のことでした。高度経済成長期には、水洗トイレの普及に伴い、紙製の生理用品が主流となっていきます。日本のメーカーは改良を重ね、薄型で吸収力が高く、多様な種類を開発し、現在では世界的に高い評価を得ています。

ナプキンの構造

一般的に、ナプキンは楕円形または長方形で、角が丸くなっています。厚さは数ミリ程度ですが、夜用や経血量の多い人向けには、吸収体を臀部まで伸ばした、厚さ1センチメートル以上のものもあります。中央部分は吸収体で、サイドや裏面は下着に固定するための役割を担っています。使い捨てナプキンは「紙ナプキン」とも呼ばれ、医薬部外品の指定を受けています。

紙ナプキンの詳細

日本の最初の製品は、1961年にアンネ株式会社が発売した「アンネナプキン」です。現在では、紙だけでなく、樹脂や不織[[布]]など、様々な素材が用いられています。初期のものは脱脂綿が使用され、その後、綿やパルプを吸収体とし、ビニール製防水紙を重ねたものが開発されました。1980年代半ばからは、高吸水性高分子が使われ始め、肌に触れる部分の素材も改良されました。表面は不織[[布]]やメッシュ状の樹脂シートが使用され、中央に綿のような肌触りの部分が配置されています。裏面は防水ビニールシートと粘着テープでショーツに固定できます。また、「羽」と呼ばれる部分がある製品もあり、ショーツのクロッチ部分を包み込むことで、ずれにくさを向上させています。

紙ナプキンには、長さ、羽の有無、サイドギャザーの有無、昼用・夜用などの種類があります。近年では、フィット感を高めた形状、吸収力を向上させた製品、ショーツ一体型、外陰部に挟むタイプなど、多様な製品が開発されています。用途や体型、TPOに合わせて使い分けることが推奨されます。なお、生理用ナプキンは尿を吸収するには適していないため、尿漏れ対策には尿吸収パッドを使用するべきです。

紙ナプキンは、装着が簡単で、日本では最も一般的に使用されている生理用品です。しかし、装着が不十分だとずれやすく、経血が漏れることがあります。日本の紙ナプキンは品質が高く、海外の製品との違いに驚く人も多いです。

ノンポリマーナプキン

高分子吸収体ではなく、綿やパルプを吸収体として使用したものです。かつては主流でしたが、吸収体の容積を大きくする必要があるため、厚みがあり、動きにくさや違和感がありました。吸収力や保持力も劣るため、現在ではあまり見られませんが、肌への刺激を抑えたい人や化学物質を避けたい人には選択肢となります。水溶性パルプを使用した、水洗トイレに流せるタイプも存在します。

布ナプキン

布ナプキンは、大きめの布を折り畳んで使用します。使用後は洗濯して再利用します。洗濯には重曹などのアルカリ性洗剤を使用します。現在では、防水シート付きのものや、おりもの用など、様々なサイズやデザインの製品があります。

ナプキンの種類と入手方法

紙ナプキンはドラッグストアなどで安価で簡単に入手できます。布ナプキンはインターネット通販や一部の店舗で取り扱っています。

使用後の処理

使用済みの紙ナプキンは、不透水シートや吸水性ポリマーを使用しているため、トイレに流すと詰まってしまいます。そのため、汚れた部分を内側にして丸め、包装ラップで包んでからサニタリーボックスに捨てるのがマナーです。

ナプキンの用途

主に月経時に使用しますが、産後や強姦による出血、尿漏れ対策にも使用できます。しかし、おりもの対策には、通気性の良いおりものシートを使用するのが望ましいです。ナプキンの交換頻度は、経血量や製品の大きさによって異なりますが、1時間～10時間程度が目安です。

ナプキンはデリケートな部分に装着するため、蒸れやすく、かぶれなどのトラブルが起こる場合があります。そのため、肌に優しい製品を使用したり、こまめに交換することが大切です。

主要メーカー

紙ナプキン
ユニ・チャーム（ソフィ、センターイン）
花王（ロリエ）
大王製[[紙]]（エリス）
第一衛材（スターナップ）

ノンポリマーナプキン
コットン・ラボ (セペ 肌にやさしいナプキン、オーガニックコットンナプキン)
丸三産業 (生活クラブ、アミカ(廃番)、SELENA VIVA NAP(廃番))
第一衛材（シェリコット）

かつて生産、発売していたメーカー

アンネ
ライオン
資生堂
十條キンバリー (後のクレシア、現・日本製紙クレシア)（ニーナ）
エンゼル（エンゼルスター）
白十字
山之内製薬 (現・アステラス製薬)（エミールソフト）
大三
白元（セペ 流せるナプキン）
P&G（ウィスパー）
ルナテックス

販売経路

ドラッグストア、薬局、ホームセンター、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、インターネットショッピングなど、様々な場所で購入できます。

関連人物

坂井泰子 - アンネナプキンの生みの親。
坂田多賀夫 - 日本で最初に生理用ナプキンの製造販売をした人。ルナテックスブランドの創設者。
アルナーチャラム・ムルガナンダム - 安価なナプキン製造機の発明者。

関連文献

小野清美『ナプキン先生の素敵なマンスリー・デイを』
小野清美『アンネナプキンの社会史』
角張光子『ひろがれひろがれエコ・ナプキン』
小野清美『生理用品の45年の軌跡』
田中ひかる『月経をアンネと呼んだ頃 生理用ナプキンはこうして生まれた』

参考資料

田中ひかる『生理用品の社会史』
社団法人日本衛生材料工業連合会ウェブサイト

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