サブマリン特許

サブマリン特許に関する詳細解説

サブマリン特許（Submarine Patent）は、発明が出願された後、その技術が広まったときに特許権が成立し、その内容が一般に公開されるシステムを指します。この用語は「潜水艦特許」とも訳され、その名の通り潜水艦のようにひっそりと存在し、時が来るまで明らかにされない特許があることを示しています。

1. 特許制度の背景

特許制度の目的は、有益な技術を社会に公開し、技術の独占を一定期間認めることで競争を促進し、その後は誰でも利用可能にすることです。しかし、旧来の特許制度には幾つかの問題点が存在しました。特に、特許が成立するまでの間に、その内容が公開されないことや、特許権の有効期間が登録日から計算されることが問題視されます。

特許が成立するまで、発明の情報は隠されたままであり、他者がその内容を把握することができませんでした。そのため、使用者は他の発明との重複を避けることが困難で、特許権者が意図的に特許の成立を遅らせることで長期間にわたって権利を享受する事態が生じました。このような特許は「サブマリン特許」と名付けられ、特に技術の普及後に公開されるため、産業全体に多大な影響を与える可能性があります。

2. サブマリン特許の問題点

サブマリン特許の最大の問題は、発明が普及し基盤技術となった後に、その特許が明らかになることで、他者がその技術を利用しづらくなり、その特許権者から高額な使用料を請求されることです。特に基本的な技術が秘匿されたまま進行し、最終的にその発明が広く利用されるようになった場合には、特許権者の要求に応じざるを得ない状況が生まれます。

また、法制度の不備により、補正や継続出願を行うことで特許の成立までの進行を遅らせ、その間に長期間の利益を享受することが可能についても問題視されています。これによって、特許制度の本来の目的である「技術の公開」が損なわれる結果に至っています。

3. 日本とアメリカの法改正

特許制度に関する問題意識が高まる中、1995年以降のアメリカの特許制度改革や1971年の日本の制度改正によって、発明の公開を一定期間経て義務づける「出願公開制度」が導入されました。これにより、他者は特許の存在を認識できるようになり、権利の行使も適正に行われることが期待されています。

出願日が権利の開始日となることが法律で保障されたため、今後サブマリン特許の問題は解消される見込みです。さらに、米国では、出願から特許登録までの時間に応じて権利の延長を制限するPTA制度も導入されるなど、特許制度の透明化が進められています。これにより、出願後の特許の存在が早期に認識されるため、予期せぬ特許権の行使を避けることが可能となっています。

4. 著名なサブマリン特許の事例

レメルソン特許

米国の発明家ジェローム・ハル・レメルソンが取得した特許群は、サブマリン特許の代表例として挙げられます。1950年代から続くこの特許は、特に画像処理技術に関するものであり、長期間にわたりその存在を秘匿され、発明が広まった後に使用料を請求する形で権利者が利益を得ていました。

SDRAM特許

ラムバス社は、同社の特許がSDRAMに利用されているとし、特許を成立させた後に多くの製品に課金しました。技術進化とともに競争が激化し、法廷闘争も続きましたが、特許の権利が正式に認められたのは、製品が普及した後のことでした。

キルビー特許

ジャック・キルビーの特許は、もともとは公告された時点でその技術が知られていましたが、権利化が遅れたため、サブマリン特許とも見なされます。市場に多くの半導体製品が普及してから特許として登録されたことにより、多くの業界がその権利行使の影響を受けています。

結論

サブマリン特許は、特許制度の問題点を浮き彫りにしつつ、技術の独占と公開のバランスを取ることの重要性を示しています。現在は法改正によって、その存在を知らしめる制度が整えられ、社会への影響を軽減することが求められています。今後も特許制度が進化していくことが期待されるでしょう。

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