サブラー・シャティーラ事件

サブラー・シャティーラ事件

サブラー・シャティーラ事件は、1982年9月16日から18日の間にレバノンで発生したパレスチナ難民に対する残虐な虐殺事件です。この事件は、親イスラエルの勢力で構成された民兵組織「レバノン軍団」によって実行されました。

背景

レバノン内戦は1975年から続いており、複雑な政治的背景があります。この内戦の渦中、1982年6月にイスラエルはレバノンに侵攻しました。その目的は、パレスチナ解放機構（PLO）の影響を排除することでした。イスラエルは、反シリアの立場をとるバシール・ジェマイエルを新たなレバノン大統領に選出させるために動きました。しかし、1982年9月にバシール・ジェマイエルは暗殺され、これを受けてイスラエルはPLO残党による犯行と判断します。怒りに燃える民兵組織は、パレスチナ人への報復に出ました。

事件の発生

1982年9月16日午後6時、イスラエル国防軍はレバノンのサブラー及びシャティーラのパレスチナ難民キャンプに照明弾を発射しました。この行動は、レバノン軍団からの要請に応えたものでした。照明弾が発射された後、民兵たちは一斉にキャンプに突入し、虐殺を開始しました。この惨劇は2日間続き、犠牲者数は762人から3500人とされています。

この事件を取材していた日本人ジャーナリスト、広河隆一は、その光景を強烈に記憶しており、何が起こったのかを明確に示しています。

事件後の反響

この出来事が明るみに出ると、世界中に衝撃を与えました。1982年12月16日、国連総会はこの事件を「ジェノサイド」として非難する決議を可決しました。123か国が賛成したものの、アメリカ、イスラエル、カナダ、イギリスなどは棄権しました。日本は賛成の立場を取りました。

虐殺を助けたとして非難されたイスラエル国内では、共産党や新たに設立されたピース・ナウなどの左派勢力から厳しい批判がありました。当時の国防相であったアリエル・シャロンは「イスラエルの手は汚れていない」と発言しましたが、後にイスラエルの特別委員会が彼に個人的責任があると報告し、シャロンは辞任に追い込まれました。

関連作品

この事件を題材にした作品もいくつかあります。映画『Massaker』は2004年に公開され、特にこの出来事に焦点を当てています。また、『戦場でワルツを』という作品も関連しています。

まとめ

サブラー・シャティーラ事件は、レバノン内戦の激化に伴い発生した深刻な人道的危機を象徴する出来事です。その後の国際社会の反響は、戦争における人権問題の重要性を再認識させるものでした。この事件を未来にどう活かすかは、私たち一人一人に課せられた課題でもあります。

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