サボテンの花 (映画)

『サボテンの花』（原題: Cactus Flower）は、1969年に公開されたアメリカ合衆国のロマンティック・コメディ映画です。ジーン・サックス監督による本作は、フランスの舞台劇を原作としたブロードウェイの成功作を映画化しており、軽妙洒脱なテンポと個性豊かなキャラクターが魅力です。

主人公は、中年の歯科医師ジュリアン。彼は結婚を嫌悪し、妻子持ちと偽って複数の女性と関係を持っていました。しかし、ある日、彼の恋人であるレコード店店員のトニが自殺未遂を起こすという事態が発生します。この出来事をきっかけに、ジュリアンは真剣に結婚を考えるようになります。

トニにプロポーズしたジュリアンでしたが、トニは「あなたの奥さんに会って納得しないと結婚できない」と条件を突きつけます。困り果てたジュリアンは、自分の妻を演じるよう、クリニックの助手のステファニー看護師に協力を依頼します。

ステファニーはジュリアンの頼みを承諾し、トニにジュリアンの“妻”として振る舞います。ステファニーの自然な演技にトニは好感を抱き、ジュリアンとの結婚に一歩近づきます。しかし、ジュリアンの嘘はここで終わりません。トニがまだジュリアンの“妻”を愛していると勘違いしたことから、ジュリアンはさらに嘘を重ねることになります。

彼は友人のハーヴェイにステファニーの恋人役を演じてもらい、4人でディスコに出かけますが、ステファニーとハーヴェイのぎこちない演技にトニの疑念は深まります。ジュリアンはトニにミンクのストールを贈りますが、トニはそれをステファニーに送るという行動に出ます。ステファニーは贈り物に感激し、外交官のサンチェスとパーティに出かけ、その後、偶然ディスコを訪れます。

ディスコには、ジュリアン、トニ、ステファニー、そして自殺未遂を救出した劇作家志望のイゴールなど、物語に関わってきた登場人物たちが勢ぞろいしていました。そこで、美しく装ったステファニーとイゴールが踊る姿を目にしたジュリアンとトニは、それぞれがステファニーとイゴールに好意を抱いていることに気づきます。

複雑な四角関係は、ステファニーがトニに真実を明かし、ジュリアンを許すよう助言することで打開されそうになります。しかし、ジュリアンは再び嘘をつき、トニはイゴールと浮気したと偽ってジュリアンと別れを決意します。

トニとステファニーを失ったと思い込んだジュリアンは、休診日のクリニックでステファニーと再会します。そこで、彼はステファニーへの愛を告白し、ステファニーもまた、長年ジュリアンを愛していたことを打ち明けます。二人はついに結ばれ、ステファニーの机の上のサボテンには、美しく花が咲いていました。

本作はウォルター・マッソー、イングリッド・バーグマン、ゴールディ・ホーンら豪華キャストを迎え、ゴールディ・ホーンは本作で第42回アカデミー賞助演女優賞を受賞しました。軽妙なセリフ回しとテンポの良い展開、そして予測不能な結末は、多くの観客を魅了し続けています。2011年には『ウソツキは結婚のはじまり』としてリメイクされていますが、オリジナル版の軽妙な魅力は色褪せることなく、現代においても新鮮な作品として観る者を惹きつけます。

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