サムスンバイオロジクス

サムスンバイオロジクス（Samsung BioLogics Co., Ltd.）は、韓国の仁川広域市に本社を構える製薬企業です。医薬品の受託製造（CMO）を専門としており、サムスングループの一員として、バイオ医薬品業界で存在感を示しています。

設立と急成長

2011年、サムスン物産、サムスン電子、そしてアメリカの製薬開発支援企業との合弁事業としてサムスンバイオロジクスは誕生しました。当時、サムスングループにはバイオ医薬品分野の事業がなかったため、グループの総力を挙げてこの新規事業を支援しました。人材、資金、ノウハウなど、あらゆるリソースが惜しみなく投入され、設立からわずか4年後の2015年には、従業員数は約1000人にまで増加しました。積極的に海外からも人材を採用した結果、従業員の約1割が外国人という国際色豊かな構成となりました。

2015年には、仁川市で世界最大規模のバイオ医薬品生産プラントである第三工場の起工式が盛大に開催されました。式典には、当時の朴槿恵大統領も出席し、サムスングループとの緊密な関係を印象付けました。金泰漢社長は式典で、「2020年にはバイオ医薬品の受託生産で世界チャンピオンになる」という大胆な目標を宣言し、サムスンバイオロジクスの将来への自信をアピールしました。

会計不正疑惑と捜査

しかし、順風満帆に見えたサムスンバイオロジクスに暗雲が立ち込めます。2018年5月、2015年12月期の決算において、子会社の株式評価方法を変更することで会計上の利益を不正に操作していた疑いが浮上しました。具体的には、子会社株式の評価を簿価から時価に変更したことが、粉飾決算に当たるのではないかという指摘です。

この疑惑を受け、韓国検察当局が捜査を開始し、2019年5月にはサムスンバイオロジクスの本社が家宅捜索を受けました。捜査の結果、検察当局は証拠隠滅の疑いでサムスン電子の副社長3人を相次いで逮捕しました。一連の事件は、サムスンバイオロジクスの企業イメージに大きな打撃を与えました。

サムスンバイオロジクスは、その設立から短期間で急成長を遂げた一方で、会計不正疑惑という大きな試練に直面しました。この経験を糧に、コンプライアンス体制を強化し、信頼回復に努めることが、今後の成長にとって不可欠となるでしょう。

外部リンク

* 公式ウェブサイト

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