サム・ライス

サム・ライスの球歴

サム・ライス（本名：エドガー・チャールズ・ライス）は、1890年2月20日にインディアナ州モロッコに生まれたプロ野球選手で、外野手として成功を収めた。彼は右投げの左打ちで、ニックネームは「Man O'War」である。特に1920年代にワシントン・セネタースでの活躍が際立っており、その時代の彼の存在は外野手としての顧客価値を高める重要な位置を占めていた。

キャリアのスタート

メジャーリーグにデビューする前、ライスはインディアナとイリノイのマイナーリーグで活動していた。彼は野球の道を歩む中で1912年に大きな悲劇に見舞われ、竜巻によって家族を失うという経験をした。この出来事の詳細は彼が生涯公表することはなかったが、その後ライスはインディアナを離れ、アメリカ海軍に一時所属しメキシコでの軍事活動にも参加していた。

1915年、彼はバージニア州のピータースバーグ球団からワシントン・セネタースに加入し、同年にメジャーデビューを果たした。当初は投手としてプレーしていたが、すぐに外野手へと転向した。その後、彼が外野のレギュラーとして定着したのは1919年以降であり、特にその速度を活かして多くの盗塁を決めることで知られるようになる。

盗塁王と打撃のスタイル

1920年には63盗塁を成功させ、盗塁王のタイトルを獲得した。しかし、その後は盗塁数は減少し、彼は積極的なバッティングスタイルに切り替えた。四球が少ない彼は、マイペースで多くのヒットを打つことができ、1924年から1926年には3年連続で200安打以上を記録。そのうち2回はリーグ最多安打を達成し、セネタースを2度のワールドシリーズ出場に導いた。

話題となったプレー

特に1925年のワールドシリーズ第3戦で見せたプレーは、多くの賛否を呼び起こした。8回裏、チームが4-3でリードしている場面で、ライスはホームラン性の打球に対してフェンス際で飛びついてキャッチを試みた。しかし、体がフェンスを越えてしまったため、審判はキャッチの成功を確認するのに困難を伴った。彼がフェンスから起き上がったときには、グラブにボールが収まっていた。この試合後、彼は実際にキャッチしたのかどうかを周囲に語らず、後に「金のためじゃない。ミステリーにしておいた方が楽しいだろう」というコメントを残した。

引退とその後

1930年には6度目の200安打を達成。40代になってもこの記録を持つ選手は彼だけであり、セネタースに19年間在籍した後、1933年のワールドシリーズ終了後にチームを離れてしまう。1934年にはクリーブランド・インディアンスで現役を引退したが、通算安打数は3000本にはわずかに足りなかった。引退後はメリーランド州で養鶏場を運営し、かつて捕虜収容所にいた日本人移民を雇っていたことも話題になった。1963年にはアメリカ野球殿堂に選出されたが、1974年にメリーランド州で亡くなる。彼の1925年のプレーの真意は、彼の死後に開かれた遺言書の中で明らかにされ、「ボールを落とす暇なんてなかったよ」という一言が残された。

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