サモ王国

サモ王国：最初期のスラヴ人国家

サモ王国は、7世紀にサモという人物を指導者として存在した部族連合国家です。現在のチェコ、スロバキア、ポーランド、オーストリアの一部にまたがる地域を支配し、最初のスラヴ人国家の一つとされています。

名称と領域

「偽フレデガリウス年代記」には「サモの王国」（regnum Samonem）という記述が見られます。領域はモラヴィア、ニトラヴィア（西スロヴァキア）、シレジア、ボヘミア、ルーサティアにまたがり、中心地は南モラヴィア、ニーダーエスターライヒ、ニトラヴィアのいずれかに位置していたと考えられています。カランタニアのアルプス・スラヴ人もその支配下にあったとする説もあります。

サモの王国

アヴァール人は560年代にこの地域に侵入し、先住民のスラヴ人を支配しました。スラヴ人は度々反乱を試み、サモはフランク人の商人として彼らに武器を供給していました。626年にアヴァール人がコンスタンティノープル包囲戦で敗北した後、スラヴ人の反乱が激化し、サモはその指導者としてアヴァール人を打ち破り、王に選出されました。サモは有力なスラヴ人の家系と婚姻関係を結び、少なくとも12人の妻と22人の息子、15人の娘がいたと伝えられています。

631/2年、フランク王ダゴベルト1世はフランク軍を率いてサモ王国に侵攻しましたが、サモはヴォガスティスブルクの戦いでフランク軍に大勝し、逆にフランク王国のテューリンギアに侵攻しました。その後、フランク人に服属していたソルブ人の公デルヴァンがサモの部族連合に加わりました。641年、テューリンギア公ラドゥルフがフランク王に対して反乱を起こし、サモと同盟を結びました。

サモは政治的な影響力だけでなく、広大な貿易ネットワークも支配していました。彼の死後、王国は解体されましたが、彼の指導下で結束したスラヴ人は、その後も強固な集団として存続しました。

サモ死後

サモの死は658/9年頃とされていますが、定かではありません。考古学的な調査によれば、彼の王国はアヴァール人の支配下に戻った地域もありましたが、北部ではスラヴ人の勢力が維持されました。8世紀後半には、フランク王カール1世がアヴァール人を破り、アヴァール人は歴史から姿を消しました。

大モラヴィア王国は、サモ王国の後継国家とみなされることもありますが、両者の関係は明確には立証されていません。しかし、サモ王国は最初期のスラヴ人国家として、その後のスラヴ人の歴史に大きな影響を与えたことは間違いありません。

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