サユラ航空ボンバルディア CRJ200 墜落事故

サユラ航空ボンバルディア CRJ200 墜落事故の概要

2024年7月24日、ネパールのトリブバン国際空港で、サユラ航空のボンバルディア CRJ200型機が離陸直後に墜落する航空事故が発生しました。この事故により、乗客17名、乗員2名の計19名のうち18名が死亡するという痛ましい結果となりました。機長は奇跡的に生還しましたが、重傷を負いました。

事故機の詳細

事故を起こしたボンバルディア CRJ200ER（機体記号9N-AME）は、製造番号7772として2003年に製造されました。当初はアトランティック・コースト航空に納入され、2017年にサユラ航空に移籍しました。事故当日は、カトマンズのトリブバン国際空港からポカラへ向かう予定で、乗務員2名と機体の定期整備を行う技術者17名が搭乗していました。サユラ航空は、この機体の整備が翌日の7月25日に予定されていたと発表しています。

事故発生の状況

事故は、現地時間午後11時15分頃に発生しました。目撃者の証言や映像記録によると、機体は滑走路を離陸した直後に横転し、墜落しました。機体は滑走路の南端から離陸後、急激な傾斜で墜落し、最初に翼端が地面に接触しました。墜落時に機体は炎上し、滑走路の東側にある航空機格納庫とレーダー基地の間の谷に滑り込みました。民間航空大臣の発表によると、機体が地面に激突する直前に、コックピットが貨物コンテナによって胴体から分離したとのことです。コックピットはコンテナに挟まり、機体の残骸は谷底へと流れ落ちました。

墜落現場では15名が即死、残りの3名は病院に搬送されましたが、その後死亡が確認され、合計18名が犠牲となりました。犠牲者の中には、イエメン国籍の国民1名も含まれていました。機長のマニッシュ・シャキャ氏は、奇跡的に救助され、カトマンズ医科大学病院に搬送されましたが、命に別状はないものの、重傷を負いました。事故当時、カトマンズでは視界が悪く、空港職員の一人は、墜落前に機体から「割れるような音」が聞こえたと証言しています。

事故後の対応

事故発生後、トリブバン国際空港は一時閉鎖されました。犠牲者の遺体は検死のため、カトマンズのトリブバン大学付属病院に搬送されました。機長は墜落から5分以内に救助されましたが、頭部や顔面の負傷に加え、背骨の骨折を負っていました。

事故調査

ネパール民間航空局は、5人で構成される事故調査委員会（AAIC）を設置し、事故原因の究明にあたっています。回収されたコックピットボイスレコーダー（CVR）とフライトデータレコーダー（FDR）は解析のため、シンガポールに送られました。初期調査の結果、機体が離陸直後に間違った方向に進んでいたことが判明しました。AAICが発表した予備報告書によると、機体は離陸時に毎秒8.6度という異常に高い機首上げ状態でした。離陸後、機体は振動し始め、右に94.6度傾斜し、高度130フィートから降下し、右翼から地面に墜落しました。機体は約15秒間飛行しており、離陸直後からスティックシェイカーが複数回作動していました。

調査の結果、航空会社が荷物の計量、積み込みや固定に関する要件を遵守していなかったことも明らかになりました。調査委員会は、すべての航空会社に対し、貨物や手荷物の取り扱いに関する要件を遵守するよう、暫定的な安全勧告を発表しました。

この事故は、航空安全に対する意識を改めて高める必要性を示唆するものであり、再発防止に向けた徹底的な調査と対策が求められます。

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