サラシナショウマ属

サラシナショウマ属（Cimicifuga）について

サラシナショウマ属（Cimicifuga）は、キンポウゲ科に属する多年草の属の一つです。和名では「晒菜升麻属」と漢字表記されます。

特徴

サラシナショウマ属の植物は、以下の特徴を持ちます。

多年草: 寿命が長く、毎年花を咲かせます。
根茎: 地下茎が横に伸び、細いひげ根を出します。
葉: 根元から出る葉（根出葉）と茎の基部につく葉は大きく、茎につく葉（茎葉）は互い違いに生え、1-3回3出複葉という形になります。小葉の縁には鋸歯（ギザギザ）があります。
花: 茎の先に総状または穂状の花序をつけ、多数の白い花を密集して咲かせます。萼片は花弁のように見え、4-5枚あります。花弁は1-8枚です。雄蕊は多数あり、白く、萼片や花弁よりも長いため、昆虫を誘引する役割を果たします。雌蕊は1-8個です。
果実: 袋果という種類の果実で、中に数個の種子が入っています。

分布

サラシナショウマ属の植物は、北半球の温暖な地域より北に約15種が知られています。日本には、以下の3種が分布しています。

イヌショウマ
オオバショウマ
サラシナショウマ

名前

属名である Cimicifuga は、「トコジラミを撃退するもの」という意味を持っています。これは、一部の種が持つ成分に、トコジラミを忌避する効果があることに由来すると考えられています。

近縁種

サラシナショウマ属は、ルイヨウショウマ属（Actaea）と非常に近縁であることが知られています。そのため、多くの植物学者はサラシナショウマ属をルイヨウショウマ属に含めるという考え方を持っています。もしサラシナショウマ属をルイヨウショウマ属に含めると、ルイヨウショウマ属の種数は20-26種に増加することになります。

日本に分布する種

イヌショウマ (Cimicifuga biternata)：根出葉は2回3出複葉、ときに1回3出複葉で、茎につく葉は退化して苞状になります。穂状花序で、花に花柄がありません。
オオバショウマ (Cimicifuga japonica)：根出葉は1回3出複葉で、茎につく葉は退化して苞状になります。穂状花序で花に花柄がありません。
キケンショウマ (Cimicifuga japonica var. peltata)：オオバショウマの変種です。
サラシナショウマ (Cimicifuga simplex)：根出葉と茎の下部につく葉は3回3出複葉です。総状花序で花に花柄があります。
ヤマショウマ (Cimicifuga simplex var. matsumurae)：サラシナショウマの変種です。
エゾショウマ (Cimicifuga simplex var. yesoensis)：サラシナショウマの変種です。

その他の種

サラシナショウマ属には、日本国外にも多くの種が存在します。また、栽培品種も存在します。

Cimicifuga americana
Cimicifuga arizonica
Cimicifuga brachycarpa
フブキショウマ (Cimicifuga dahurica)
Cimicifuga elata
Cimicifuga europaea
ショウマ (Cimicifuga foetida)
オオミツバショウマ (Cimicifuga heracleifolia)
Cimicifuga laciniata
Cimicifuga nanchuanensis
Cimicifuga rubifolia
タイワンサラシナショウマ (Cimicifuga taiwanensis)
Cimicifuga yunnanensis

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類』（1982年）平凡社
米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

外部リンク

Flora of North America: Cimicifuga
* Flora of China: Cimicifuga

もう一度検索