サリー伯爵

サリー伯爵：イングランド貴族の歴史と変遷

サリー伯爵は、イングランド貴族の伯爵位であり、その歴史は3度にわたる創設と変遷を経て、現在に至っています。この爵位は、イングランドの歴史と深く結びつき、数々の貴族家がその名を連ねてきました。

創設と初期の歴史

最初のサリー伯爵位は、1088年にウィリアム・ド・ワーレンによって叙されました。彼は、ノルマン・コンクエストでの戦功が認められ、ウィリアム2世からこの栄誉を与えられました。以降、サリー伯爵位はワーレン家によって世襲されましたが、7代伯爵ジョンが男子継承者を残さずに1347年に死去したことで、その流れは一度途絶えます。

その後、ジョン・ド・ワーレンの姉アリスの子であるリチャード・フィッツアランがサリー伯爵位を継承し、アランデル伯爵家がサリー伯爵位を保持することとなりました。しかし、12代アランデル伯爵・10代サリー伯爵トマスの死後、アランデル伯爵位は又従兄弟に継承されたものの、サリー伯爵位は帰属者未定となります。

モウブレー家とハワード家

1451年には、ジョン・ド・モウブレーがサリー及びワーレン伯爵に叙されますが、彼一代で終わります。その後、1483年にリチャード3世への貢献が認められたジョン・ハワードが初代ノーフォーク公爵に、その息子トマス・ハワードが初代サリー伯爵に叙されました。しかし、1485年のボズワースの戦いでリチャード3世とノーフォーク公が敗死したため、ハワード家は一時的に爵位を剥奪されます。

トマス・ハワードは、1489年にサリー伯爵位への復権を果たし、1514年にはノーフォーク公爵位への復権も認められました。これにより、サリー伯爵位はノーフォーク公爵の従属爵位となり、ノーフォーク公爵家の嫡男の儀礼称号となりました。

その後の変遷

1572年には、4代ノーフォーク公・3代サリー伯爵トマス・ハワードが大逆罪で処刑され、再び爵位を剥奪されます。しかし、その長男フィリップ・ハワードがアランデル伯爵位を継承し、その息子であるトマス・ハワードが1604年にアランデル伯爵とサリー伯爵への復権を認められました。

その後、トマス・ハワードの孫である第23代アランデル伯爵・第6代サリー伯爵トマスが、1660年にノーフォーク公爵位への復権を果たし、以降サリー伯爵位はノーフォーク公爵位と分離することなく、従属爵位として現在まで続いています。

現在、ノーフォーク公爵家の嫡男は「アランデル・サリー伯爵」を儀礼称号としており、2014年現在のサリー伯爵位保有者は第18代ノーフォーク公爵エドワード・フィッツアラン＝ハワード（第19代サリー伯爵）です。

サリー伯爵位は、イングランドの歴史の中で、数々の貴族家がその名を連ね、様々な変遷を経て現代に至る、重要な爵位の一つと言えるでしょう。

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